矢野経済研究所
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2020年の紙・板紙の製紙メーカー出荷量(国内出荷+輸出)は前年比約8%減の2,300万t程度の見込

~コロナ禍で紙需要に急ブレーキ、経済活動停滞で大幅減少の見通し~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役:水越孝)は、国内外の紙・板紙市場を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

紙・板紙の出荷量推移・予測

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1.市場概況

 日本製紙連合会資料によると、2019年(2019年1月~12月)の紙・板紙の製紙メーカー出荷量(国内出荷+輸出)は、前年比4.5%減の2,511万tとなった。紙の出荷量は6年連続の減少となっている。

紙については、印刷・情報用紙などで2019年年初より+20%の価格修正が実施された。大手製紙メーカーの工場でトラブルが散発し国内の供給量が減少したことで、夏前まで紙不足の状況に陥ったこともあり、修正した価格は概ね市場に浸透した。その後、2019年後半は、紙不足によりスポット的に輸入された印刷用紙の在庫増や消費増税後の消費低迷などにより、需給ギャップが広がった。さらに、海外市場の市況悪化から、2019年は製紙メーカー各社の輸出数量が大幅に減少し、年間を通じ総じて紙の出荷量は減少を余儀なくされた。
一方、板紙は段ボール原紙において、インターネット通販の需要拡大等から国内需要は微増基調ではあるものの、2019年は輸出量減少や、国内の長雨や台風等天候不順の影響もあり、減少推移となった。

2.注目トピック

2020年は遂に紙と板紙の構成比が逆転か

 2020年の製紙メーカー出荷量(国内出荷+輸出)は、新型コロナウイルスの影響により新聞用紙や印刷・情報用紙が大幅減少する見通しである一方で、段ボール原紙は輸出量の急拡大でプラス成長となる見込みのため、板紙の構成比が初めて紙と同等、または若干上回る見込みである。コロナ禍において、需要構造の変動が加速している。

3.将来展望

 2020年の紙・板紙の製紙メーカー出荷量(国内出荷+輸出)は、前年比8.4%減の2,299万tとなる見込みである。新型コロナウイルス感染症拡大により、経済活動が停滞、各品種は軒並み近年にはない減少幅となっており、出荷量はリーマン・ショックの影響を受けた2009年以来の大幅減少となる見通しである。

2021年の紙・板紙の製紙メーカー出荷量は、前年比0.8%増の2,318万tになると予測する。情報媒体としての紙は前年の反動増となると見られるものの、その増加幅は微増にとどまり、需要はコロナ禍前の水準には戻らないと予測する。一方、段ボール原紙については、大規模な天候不順等がなければ、世界的な需要の高まりに引っ張られる形で、当面は微増から増加基調で推移すると予測する。

調査要綱

1.調査期間: 2020年10月~12月
2.調査対象: 紙パルプメーカー、紙および紙製品等の流通業者、総合商社、新聞社、紙器・紙製品メーカー、その他関連業者
3.調査方法: 当社専門研究員による面接取材、電話によるヒアリング、郵送アンケート調査ならびに文献調査併用
<紙・板紙市場とは>
紙市場は新聞用紙や印刷・情報用紙、包装用紙、トイレットペーパーなどの衛生用紙、工業用・家庭用雑種紙を、板紙市場は段ボール原紙や紙器用板紙、雑板紙を対象とし算出されている。2008年から2019年までの実績値は日本製紙連合会資料より引用、2020年見込値および2021年予測値は矢野経済研究所推計値。
<市場に含まれる商品・サービス>
紙・板紙、製紙原材料(チップ、パルプ、古紙)、製紙用薬品(情報用紙薬品、サイズ剤、表面サイズ剤、紙力増強剤、コーティング顔料・填料、バインダー薬品等)、国内業界別需要動向(新聞、出版、印刷、通販、段ボール、紙器、紙製品)、国内主要紙・板紙代理店販売ランキング、世界55カ国の紙・板紙・パルプ生産量

出典資料について

資料名2021年版 紙パルプ産業白書
発刊日2020年12月28日
体裁B5 993ページ
定価130,000円(税別)

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