マーケティング
(画像=foxyburrow/stock.adobe.com)

他社との競争に負けないためにはマーケティング戦略が必要となる。しかし、規模やリソースが小さい中小企業では、マーケティング戦略は後回しにされがちだ。そこで役立つのがフレームワークである。今回は中小企業が実践できるフレームワークの考え方を紹介する。

目次

  1. マーケティングが難しい理由
    1. 理由1.言葉の意味がわかりづらい
    2. 理由2.リソースが少ない
  2. マーケティングを実践するときのポイントは?
    1. ポイント1.フレームワークを知る
    2. ポイント2.小さく始める
    3. ポイント3.PDCAを機能させる
    4. ポイント4.マーケティングの範囲を明確にする
  3. 中小企業のマーケティングに活用できるフレームワーク4選
    1. フレームワーク1.STP分析
    2. フレームワーク2.4P分析
    3. フレームワーク3.3C分析
    4. フレームワーク4.バリューチェーン分析
  4. フレームワークを活用してマーケティング戦略を練ろう

マーケティングが難しい理由

中小企業庁の調査によると、「営業力・販売力の強化」について約75%の経営者が注力していきたいと感じていることがわかった。

しかし、実際に効果があったとされる支援施策は、資金繰りや雇用、人材育成などであり、営業・販売に結び付く方法ではない。なぜ中小企業では、マーケティングが軽視されてしまうのか。

理由1.言葉の意味がわかりづらい

そもそも、マーケティングの意味がわかりづらい。経営学の神様と呼ばれているピーター・ドラッカーは、マーケティングの目的について下記のように述べている。

・販売を不必要にすること
・顧客に合った製品やサービスが自然に売れるようにすること

この文を見て、マーケティングの意味を完璧に理解するのはおそらく不可能であろう。ほかにもさまざまな観点からマーケティングの意味が述べられているが、人によって認識が違っていることも多い。

理由2.リソースが少ない

経営者は日々の業務に追われがちで、戦略を考える時間がなかなか取れない。また、人事や営業、経理といった分野は会社に不可欠だが、マーケティングがなくても経営は止まらない。時間に余裕がないと戦略を立てるのが後回しになってしまうのだろう。

マーケティングを実践するときのポイントは?

経営者が知っておくべきマーケティングのポイントを解説しよう。

ポイント1.フレームワークを知る

顧客を効率的に増やす方法を考えるのは意外と難しいだろう。そこで役立つのがフレームワークだ。フレームワークとは、問題解決や意思決定に使われる枠組みをさす。

世の中にはビジネスシーンで使えるフレームワークがたくさんあり、物事を整理して考える際に活用できる。

ポイント2.小さく始める

マーケティング戦略や経営戦略を考えようとすると、完璧さにこだわったり、壮大な夢を描いてしまったりしがちだ。

しかし、必ず実現できるとは限らないし、画期的な戦略を策定できるとも限らない。その点をふまえると、中小企業は自社のできることから小さく始めることが重要だろう。

今や世界的大企業となったアマゾンも小さいガレージで始まった。アマゾンのビジネスモデルは、下記のサイクルがベースとなっている。

(1).素晴らしい顧客体験を提供する
(2).閲覧数が伸びる
(3).アマゾンで販売したいと思う事業者や品ぞろえが増える

(1)→(2)→(3)→(1)・・・と、ぐるぐると事業が成長していく。このビジネスモデルは、創業者であるジェフ・ベゾス氏によって考案され、レストランの紙ナプキンに描かれたことが知られている。

アマゾンでさえ、最初はシンプルで小さいビジネスから大きくなったのだ。現在の企業規模が小さいなら、小さく始めるという考えにもとづき、マーケティング戦略を考えるとよい。

ポイント3.PDCAを機能させる

PDCAを回す重要性は、経営者であればわかるだろう。ただ、効果を実感するにはPDCAの注意点を知っておく必要がある。

PDCAを行うときにCheckの過程で良し悪しの判断ができず、次のActionが効果的に行われないことがある。結果として、PDCAサイクルそのものが小さくなってしまう。

Checkに問題があるのではなく、Planでチェックすべき点を定量化できていないことに問題がある。

本当に正しくPDCAを回したいなら、Planで戦略の立案だけでなく、戦略に対するKPIや見込みの達成率などを考えなければならない。

PDCAサイクルを機能させるためにも、各プロセスを理解しておくことが重要だ。

ポイント4.マーケティングの範囲を明確にする

中小企業は大企業と比べて営業リソースも限られている。その中で、成功確率が高い顧客にアプローチできるかはマーケティングにかかってくる。効率よく営業を進めることがゴールであり、マーケティングの範囲を明確にすることが大切だ。

中小企業のマーケティングに活用できるフレームワーク4選

中小企業のマーケティングに役立つ代表的なフレームワークを紹介する。

フレームワーク1.STP分析

STP分析は、アメリカの経営学者であるフィリップ・コトラー氏によって提唱された理論であり、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字を取って名付けられた手法だ。

分析によって自社が狙う市場、自社が目指すべき方向性を明らかにできる。

・プロセス1.Segmentation

対象となる市場を地理的要因や年齢的要因、企業規模、業種などの観点から細かく分類する。

・プロセス2.Targeting

対象となる市場から自社が狙う市場を定める。

・プロセス3.Positioning

ターゲットに合わせて自社の立ち位置を明確にする。

フレームワーク2.4P分析

4P分析は、Product(商品)、Price(価格)、Promotion(販促)、Place(流通)の各分野で事業の強みや弱みを洗い出して改善する手法だ。

自社のサービスを展開するうえで考えるべきポイントが網羅され、使いやすいフレームワークである。

顧客の視点で考える4C分析も存在する。4P分析のProductをCustomer Value(顧客にとっての価値)、PriceをCost(顧客にとっての経費)、PromotionをCommunication(顧客とのコミュニケーション)、PlaceをConvenience(顧客にとっての利便性)に置き換えた手法だ。

フレームワーク3.3C分析

3C分析は広い視野で戦略を立てる手法だ。3Cは、Company(自社)、Customer(市場)、Competitor(競合)の頭文字を用いた略称である。各視点から強みや弱みを洗い出しつつ分析を行う。

自社分析では、自社の経営資源や強み、付加価値を生む要素などを分析し、市場分析では、市場規模や成長性、顧客ニーズや購買決定プロセスなどを分析する。

競合分析では、競合の戦略やパフォーマンス、市場への参入障壁などを検討することが多い。3C分析を行うことで、自社の立ち位置をクリアにできるだろう。

フレームワーク4.バリューチェーン分析

バリューチェーン分析は、事業活動(開発・製造・物流など)をバリュー(機能)別に分析し、価値を生み出している分野を考える手法だ。

機能ごとに付加価値やコストを分析し、改善点を見つけられる。

フレームワークを活用してマーケティング戦略を練ろう

今回紹介したフレームワークは代表的な方法とはいえ、最初は使うのに戸惑う方もいるだろう。しかし、最初から完璧な戦略を作る必要はない。

仮説をベースに小さく始めてみて、間違えたらやり直せばいい。早速、フレームワークを導入してマーケティング戦略を考えてみてほしい。

文・THE OWNER編集部

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