矢野経済研究所
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2020年度の国内POSターミナル市場規模は、前年度比78.4%の13万台、同74.9%の456億円まで落ち込む見込

~リプレース需要が一巡してしまったことに加え、新型コロナウイルスが多くのユーザー企業業績に影響~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のPOSターミナル市場の調査を実施し、リテールソリューション動向やPOSシステム関連事業者の戦略、市場の将来展望を明らかにした。

国内POSターミナル市場規模推移と予測

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1.市場概況

 2019年度の国内POSターミナル市場規模は、メーカー出荷ベースで16万7,531台、609億3,700万円と推計した。POSターミナル市場はこれまで年間出荷台数がおよそ12万台~15万台の水準で推移していたが、2017年度から3大コンビニエンスストアチェーンがPOSシステムの機器リプレースを実施したため、その2年間で一時的に10万台以上需要が拡大している。それらを考慮すると2019年度は消費増税やEMV(ICチップ搭載クレジットカード統一規格)への対応などで、むしろコンビニ需要を除いた例年と比較すると好調に推移したと言える。

 しかし、2020年度のPOSターミナル市場規模は大きくは縮小する見通しである。2019年度までに大手のユーザー企業の多くがPOSシステムをリプレースして、需要が一巡してしまったことに加え、新型コロナウイルスが多くのユーザー企業業績を直撃したためである。コロナ禍でも比較的業績が好調と言われる食品、日用品関係の業態のユーザー企業では、既に2019年度までにリプレースを行ってしまっており、さらに新規需要と言っても良いセルフ精算機が2019年度に大量導入されたことも影響し、2020年度のPOSターミナル市場規模は、前年度比78.4%の13万1,320台、同74.9%の456億3,500万円まで落ち込む見込みである。

2.注目トピック

レジのセルフ化動向

 今後、人手不足や新型コロナウイルスの影響で、レジのセルフ化はさらに新しい展開を迎える可能性が高い。イオンリテール株式会社は2020年3月より、レジに並ばない買物スタイル「どこでもレジ レジゴー(以下、レジゴー)」を本格展開し、2020年度中に東京・千葉・神奈川の「イオン」「イオンスタイル」を中心に約20店舗へ拡大する。同社は、顧客満足度の向上のため、セルフレジやセミセルフレジの導入によりレジの選択肢を広げ、利便性を高めてきたが、今回、「レジゴー」を本格展開することでレジ待ち時間をなくし、楽しい買物体験を提案するとしている。

3.将来展望

 2021年度のPOSターミナル市場は、新型コロナウイルス感染拡大等による大幅な出荷台数の減少の反動でやや持ち直すものの、2023年度にかけて市場は次第に縮小していく見通しである。その要因としては、2019年度までに大手ユーザー企業のリプレースがほぼ完了しており、当面はそれらのユーザーの需要が見込めないこと、また飲食店や量販店を中心にレジを伴わないチェックアウトシステムが普及していくこと、これまでのような専用機ではなくタブレットに代表されるような汎用機でのPOSシステム利用が進むこと、などである。
こうしたことにより、2023年度のPOSターミナル市場規模は、12万4,642台、411億3,200万円になると予測する。今後、ベンダー各社は、これまで以上にPOS専用機ベンダー専業からの脱却が急務になると考えられる。

調査要綱

1.調査期間: 2020年7月~10月
2.調査対象: POSシステム関連事業者(POSターミナルメーカー、POSソフトウェアベンダ、タブレットPOSベンダ)等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
〈POSターミナル市場とは〉
POS(Point Of Sales system)とは、販売時点売上管理システムともいわれ、物品販売の売上実績を単品で管理し集計するシステムをさす。POSシステムは、サーバやPOSターミナル(端末)、POSソフトウェア、その他周辺機器から構成される。
本調査におけるPOS ターミナル市場は、POSターミナル(端末)の市場規模をメーカー出荷(台数、金額)ベースで算出した。但し、タブレットPOSは対象としていない。

出典資料について

資料名2020年版 リテールソリューション市場の実態と将来展望
発刊日2020年10月29日
体裁A4 345ページ
定価190,000円(税別)

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