食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

〈海外事業はメリソン社の売り上げが上乗せ〉
加藤産業は10月13日、2020年9月期業績会見をオンラインで開いた。

加藤和弥社長は、「増収増益となり、予想数値を若干上振れした。とくに家庭用は(巣ごもりの影響で)3月以降需要が高止まりし、5月半ば頃まで大きく売り上げが伸び、利益にも若干プラスに働いた。業務用比率の高い三陽物産(酒類)や海外事業は4~6月はマイナスだった。CVS(コンビニエンスストア)は4月から半年、厳しい状況が続いた。CVSについては商流に加えて、エリア別で物流も受託しており、効率が悪化したことで、収益的にも若干足を引っ張った」と総括した。

利益率については、「売上総利益は予想をクリアも、下期は苦戦した。一方売り上げが伸びたこと、旅費交通費や交際費が大きく減少したこともあり、経費率をやや抑えられ、予想を上回る営業利益率を確保できた」と説明した。

2021年9月期の業績予想は、売上高は前年比2.3%増の1兆1,300億円、営業利益4.1%減の111億円、経常利益4.6%減の126億円。「増収にこだわりがあり、なんとか達成したい。利益面は、今期は前期に比べて10億円を超えるマイナス要因があり、すべてをカバーすることは難しい」と話した。

マイナス要因については、「情報システム費が主因。3年ほど前から古い受発注システムの刷新を進め、今期からスタートする。今期は二重でシステムが走るため費用がかさみ、数億円規模のインパクトがある」と説明した。その影響で、事業別の営業利益は、「常温流通が厳しくなる」とした。

つづけて、「低温流通は、前期は一過性の赤字だったため改善すると見込んでいる。酒類流通は、家庭用は堅調に推移するだろうが、他の事業に比べて業務用のインパクトがあり、とくにバーなど高級な業態に向けた収益を生みやすい商品は厳しい」との見方を示した。

海外事業については、10月に株式取得が完了したマレーシア最大の卸売業グループのメリソン社の売り上げが上乗せすることから増収を見込む。利益は、「メリソンの利益がのれんの償却負担でほぼ消える。マレーシア・シンガポール・ベトナムは、インバウンドの消滅などもあり苦戦している。利益的には前年並みか下回りそう」とした。

〈安全を最優先し安定した食品流通に全力、展示会の開催方法は模索中〉
コロナ対応では、「従業員・関係者の安全を最優先し、安定した食品流通という社会的な役割を果たすことに全力を注いだ。7月以降、通常の業務に少しずつ戻しているが、元通りではない」とし、オンライン会議へのシフトなど、具体的な変化を述べた。

同社はコロナ感染対策で、春季(3月)、秋季(9月)のグループ総合展示会を中止した。秋季は、その代替として、オンライン商談会を急きょ実施した。メリット、デメリットについて、「ある程度評価していただけたかと思うが、リアルと比べて試食できないだけでなく、情報を五感で感じとることができないため情報量に違いが出る。視覚だけでは平板な情報提供となり、バイヤーにとってはマイナスであり、足りないことが多かったと反省している。ただ、普段来場できない人からは評価もいただいている」と話した。

今後の展示会については、「年明け以降については、現時点では白紙。元通りの形で行えるとは考えていないが、得意先、仕入先からも、リアルの展示会へのニーズがあることもわかっており、『最低限これくらいはしたい』を模索しているところ」とした。

〈冷食日報2020年11月17日付〉