尾家産業2021年3月期決算
(画像=尾家産業2021年3月期決算)

尾家産業は11月9日、2021年3月期決算を発表した。売上高は37.8%減の304億8,500万円、営業赤字は12億3,800万円、経常赤字は8億9,100万円、純損失は17億4,800万円と新型コロナウイルスの影響を受けて減収赤字となった。

坂口泰也取締役営業本部長は「数字の通り非常に厳しい結果となった。主要得意先50社の内40社が前年割れと苦戦、前年をクリアした10社はヘルスケアフードと中食業態と比較的コロナの影響が少ない業態だった」と話した。

尾家産業 坂口本部長
(画像=尾家産業 坂口本部長)

売り上げが増加した上位100社でプラス分が17.5億円と前年から半減した一方、減少した100社は120億円と前年の3倍になった。業態別で見ると緊急事態宣言や外出自粛の影響をもろに受けた宿泊施設が73.3%減、飲食店が50.2%減と特に大きく売り上げを落とした。

このほか、事業所給食が29.1%減、中食が16.8%減となり、ヘルスケア業態のみ5.3%増と前年をクリアした。同業態は新規取引先も約150件増加し、坂口本部長は「伸び代がある」とした。また、同業態と共に重点項目に掲げている中食は、仕出し弁当などの構成比が高い企業は苦戦したが、テークアウト主体の企業は前年クリアとなり、元気なローカルユーザーに積極的に営業をかけたという。宿泊施設はそもそも営業していない所も多かったが、9月時点で休業していた20社の内、12社は10月に入って営業を再開、「Go To トラベル」キャンペーンの効果が出始めていると見ている。

〈8月から開催のオンライン提案会が好評〉
8月からは中止せざるを得なかった提案会をオンラインで開催している。通常の提案会は全国15会場で開催し7,000人が来場するが、同オンライン提案会では10月末時点で既に1万4,000人以上が来場しているという。12月まで実施予定で、リアルの展示会では多忙で来場できない管理栄養士などからのアクセスもあり好評を得ているという。

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また、来場者の閲覧履歴が全てデータとして活用できるのも大きなメリットと考えており、今後データ分析を進める。これにより、ユーザーが集中的に見ていたジャンルの商品を営業が持参するなどの新たなツールとして活用することも検討している。

例年セミナーと共に実施する「やさしいメニュー」セミナー&提案会も10月からオンラインで開催中(「やさしいメニュー」ウェビナー&オンライン提案会)。こちらでもオンライン上でウェビナーを開催する。商品面では冷凍弁当の需要が非常に高まっているとし、「来期には実績に貢献するだろう」と期待を寄せている。

坂口本部長はコロナの状況を、
〈1〉外出自粛
〈2〉外出緩和
〈3〉アフターコロナ
――の3段階のステージに分けており、下期は〈3〉アフターコロナの時期にきていると分析。今後はテークアウトやデリバリー専門のゴーストキッチンとの取り組みを深めたいとしている。また、売り上げをけん引するチェーン店の回復が遅れる一方、個店では盛況な店舗も多く出てきていることから、好調な店舗への営業を強化していく。

〈2021年1~3月に6会場で提案会を開催予定〉
例年1~3月に開催している春季提案会は、取引先の要望もあって、大阪2会場、東京、仙台、岡山、福岡の全6会場で開催予定。大阪会場は2021年1月19日に大阪国際会議場、2月にインテックス大阪で開催する。また、オンライン提案会も併用するとしている。足元の状況については、10月は前年比15%減程度まで回復してきているとしている。

〈冷食日報2020年11月18日付〉