従業員
(画像=wladimir1804/stock.adobe.com)

予期せぬ事態であった新型コロナウイルスの影響下で、業績を上げたという意味でなく、従業員へのメッセージや臨時手当を出して評価を上げた企業がいくつか存在している。今回は、コロナの収束が不透明な中、今後の企業運営を考えるうえで参考になる、コロナ禍でも従業員に手厚い対応をした企業をピックアップして取り組みを紹介する。

目次

  1. コロナの中でも従業員への対応で評価を上げた企業が存在している
  2. 従業員への配慮で評価を上げた企業の取り組み事例
    1. トップや企業からのメッセージ
    2. コロナ影響下の働き方の判断
    3. 従業員への手当
  3. 予期せぬ事態にも従業員にスピーディーかつ適切に応じた企業の評価が上昇

コロナの中でも従業員への対応で評価を上げた企業が存在している

新型コロナウイルスは、企業経営に多大な影響を与えた。多くはマイナス面であり、企業だけでなくそこで働く従業員にも大きな負担をかけている。そのような中で、従業員に手厚い対応を行い、健康面や経済面でスピーディーなサポートを実行した企業が存在する。そうした取り組みは注目され企業は内外の評価を上昇させている。

従業員への配慮で評価を上げた企業の取り組み事例

新型コロナウイルスがパンデミックとなり、企業にとっても深刻な影響を与えている中で、従業員に対し、評価に値する適切な配慮を行った企業がいくつか存在する。それらの企業の取り組みはそれぞれの企業の状況や経営者の経営方針によるところが大きい。

企業の取り組みは共通点も多く、大きく分けると3つの取り組みに分けられる。1つ目は、トップや企業からのメッセージである。2つ目は、コロナ影響下の働き方の判断である。そして3つ目は、従業員への手当である。それぞれの取り組みについて企業の事例を見ていこう。

トップや企業からのメッセージ

新型コロナウイルスは、近年では例を見ない世界的なパンデミックとなった。そんな予期せぬ出来事が起きた時、いち早くトップや企業が従業員に向けてメッセージを発信することは、非常に効果的で評価に値する。

・グローバル企業の従業員に向けてのトップメッセージ(マリオット)

マリオットはグローバルで展開するホテルチェーンである。ホテル業界は、コロナウイルスによる影響を多大に被った業界のひとつである。同ホテルも、従業員の無給休暇を判断せざるを得ないことになり、従業員の不安は募るばかりだった。

そんな中、同ホテルのソレンソンCEOは、未曽有の危機であることを素直に認めながらも未来を語り、自らも2020年中無給で働くメッセージを発信した。

コロナ影響下の働き方の判断

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、他人との接触の機会をできるだけ減らすことが社会全体に求められた。企業は、従業員の新しい働き方へスピーディーに舵を切る必要性があったのだ。そのような状況下で、早急に従業員に配慮した対応を取り評価を集めた企業がある。

・スピーディーな全社休業の判断(東芝)

東芝は、4月半ばに全社休業に踏み切った。従業員の新型コロナウイルスの感染を防止するため、工場を含むすべての拠点を休業させたことは大きな経営判断として話題となった。

・1月時点でテレワーク導入(GMOインターネット)

新型コロナウイスによって、多くの企業がテレワークを導入した。その先駆けといわれている企業のひとつがGMOインターネットグループである。同社は1月半ばの時点で、中国人観光客が好んで行く渋谷・大阪・福岡の拠点で、テレワークによる在宅勤務を開始した。

従業員への手当

新型コロナウイルスは、企業経営を悪化させるため、企業は従業員の収入も減らさざるを得ない。そのような中でも従業員のことを考え、それぞれの企業の状況に合わせて可能な手当てを行った企業は多い。例えば、ライフコーポレーション、エディオン、日本空港、スギホールディングス、コストコ、ビーネックスグループ、ジェイ・エス・エス、大森屋など、多業種、多業界にわたり多くの企業が取り組みとして採用した。

・米国大手スーパーマーケットの感謝手当(クローガー)

コロナが拡大する中でも、店舗に出社し働く必要がある業界がある。スーパーマーケットもその一つだ。米国大手スーパーマーケットのひとつであるクローガーは、店舗や物流施設などの現場で働く従業員を対象に感謝手当を支給した。

・店舗で働く従業員に感謝手当(ジンズ)

眼鏡店を運営するジンズホールディングスは、実店舗で働く契約社員やアルバイトを含む従業員に対し、感謝手当を支給した。実店舗では新型ウイルスの感染防止対策のため、新たな業務が発生し、従業員の負担が拡大した。そんな状況下で働く従業員に向けて、感謝の意を表した経営判断である。

・自宅待機の従業員の給与を100%保障(キージェント)

総合人材サービスの企業であるキージェントは、新型コロナウイルスのため自宅待機をさせた従業員の給与を100%保障し、一律5万円の手当を支給した。

・無利息での貸し出し(マツモトキヨシ)

マツモトキヨシは、新型コロナウイルスの影響で収入が減少した従業員に向け、最大20万円の無利息貸し付けを実施した。

予期せぬ事態にも従業員にスピーディーかつ適切に応じた企業の評価が上昇

予期せぬ事態であった新型コロナウイルスの影響下で、従業員の働き方を変更したり、臨時手当を出したりして評価を上げた企業を紹介した。それらの企業の取り組みは共通する点も多く、大きく分けると「トップや企業からのメッセージ」「コロナ影響下の働き方の判断」「従業員への手当」がある。コロナの収束が不透明な中、今後の企業運営を考えるうえで評価を上げた企業の取り組みは参考になるだろう。

文・小塚信夫(ビジネスライター)

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