矢野経済研究所
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使い捨て容器包装の海洋プラごみ問題が深刻化する中で、新規有望素材が続々登場

~本命不在の中、紙・セロハン・バイオマス複合材・海洋生分解性プラスチックが競う~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の海洋生分解性素材市場の調査を実施し、市場動向や用途別の将来展望を明らかにした。

海洋生分解性を有するプラスチック代替素材(海洋生分解性プラスチック)の動向

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1.調査結果概要

 紙・セロハン・バイオマス複合材・海洋生分解性プラスチック、どの海洋生分解性素材にも一長一短があり、オールマイティにあらゆる用途で使えるような万能素材は今のところ見当たらないが、それぞれの特徴に適した用途で開拓が進もうとしている。

しかし、単体でプラスチックに対抗するには限界があるため、品質面、時には価格面において、互いに長所を分け合い、短所を補い合う工夫をすることが、実用化への近道だと考えられる。容器包装などの素材としてプラスチックを置き換えていくには、それぞれの海洋生分解性素材メーカーが、素材の枠および企業の枠を超えて、互いの知見を持ち寄って協業することが望まれる。技術を囲い込むのではなく、広く共有する姿勢が普及への近道となると考えられる。

2.注目トピック

海洋プラごみ汚染の実態調査の手法と、海洋生分解性の評価方法の確立が急務

 世界の国々と連携して海洋プラスチックごみ問題の解決を進めていくためには、その第一段階として、汚染の実態を把握するための客観的な調査手法の確立が求められている。現状は、国際的な調査手法が確立していないが故に、国によって得られるデータが異なっており、信頼できるデータが得られていない状況にある。

また、次に海水中でも生分解可能な海洋生分解性プラスチックにおける海洋生分解性の評価手法の確立も急がれる。現状では、国際的な認証機関の1つであるTUV オーストリアの海水中における生分解認証「OK Biodegradable MARINE」があり、日本国内メーカーにおいてもカネカが同認証を取得、またフタムラ化学や事業革新パートナーズ、ダイセルなどが取得申請中で、2020年後半~2021年にはカネカのPHBH®に続く複数の海洋生分解性プラスチックが市場に登場する見通しである。
ただ、同認証を取得した原料が海水中での生分解性に優れているのは確かであるとしても、試験方法や判定基準が国際的に統一されていないため、これをもって生態系に悪影響を与えないと100%断定するには、科学的な根拠がまだ十分とは言えないようだ。
その背景にはISO(国際標準化機構)の試験方法がまだ完全には確立されていないことがある。海洋生分解性素材の実用化にあたっては、主にこの2点について科学的な知見の確立が急務であると考えられる。

調査要綱

1.調査期間: 2020年6月~8月
2.調査対象: 海洋生分解性素材メーカー、加工メーカー、エンドユーザー
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材、電話取材、ならびに郵送アンケート調査併用
<海洋生分解性素材とは>
 本調査における海洋生分解性素材とは、海水中で生分解する紙・セロハン・バイオマス複合材・海洋生分解性プラスチックの4つの素材を対象とした。
<市場に含まれる商品・サービス>
紙・セロハン・バイオマス複合材・海洋生分解性プラスチック

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