冷凍食品の販売金額はコロナ禍で増加、調理冷食は弁当惣菜の回復が押し上げ/2020年1~8月POS推移
(画像=家庭用冷凍食品の合計およびカテゴリー別売上高前年比増減率推移(KSP-POS))
冷凍食品の販売金額はコロナ禍で増加、調理冷食は弁当惣菜の回復が押し上げ/2020年1~8月POS推移
(画像=家庭用冷凍食品の合計およびカテゴリー別平均単価前年比増減率推移(KSP-POS))

KSP-POSのデータ(調査対象943店舗)によれば、8月の家庭用冷食販売金額は合計で前年比8.8%増と伸長。カテゴリー別では調理冷食が前年比11.9%増、冷凍ピザ・グラタンが1.6%減、冷凍麺が10.4%増、冷凍米飯が5.0%減、冷凍農産が13.1%増と、カテゴリーによってまちまちの結果となった。

1月から8月までの販売金額および平均単価の期間推移はグラフの通り。冷食各カテゴリーは、コロナ禍の影響で2月~5月、大きく販売金額が増加した。緊急事態宣言解除後の6月以降も、冷凍麺、冷凍農産は引き続き前年比10%増程度の推移を続けている。

また、6月は前年並程度に落ち込んでいた調理冷食が8月になって2ケタ増に盛り返した一方、冷凍ピザ・グラタン、冷凍米飯は3カ月連続で前年割れとなっている。ここでは、各カテゴリーの販売金額推移をより細かく見ていく。

〈調理冷食、コロナ禍で不調だった弁当惣菜回復が押し上げ〉

各カテゴリーをさらに細分類し、販売金額トップクラスの代表的な商品2品ずつを選び、その販売金額推移を調べた。

調理冷食は大きく分けて食卓惣菜、弁当惣菜、スナックに分けられる。ここでは、食卓惣菜として味の素冷凍食品「ギョーザ」、ニチレイフーズ「特から」、弁当惣菜としてニチレイフーズ「ミニハンバーグ」、味の素冷凍食品「エビ寄せフライ」、スナックとしてテーブルマーク「ごっつ旨いお好み焼」、ニチレイフーズ「今川焼 あずきあん」を選び、その販売金額の前年比増減率推移を調べた。

これを見ると、食卓惣菜、スナックは比較的堅調に推移している一方、弁当惣菜はコロナ禍の中で前年割れが続いていたが、5月を底に6月以降回復傾向なのが分かる。大手メーカーによれば、3月以降は学校休校要請および在宅勤務拡大などでお弁当需要が消失し、弁当惣菜が苦戦したという。6月以降は学校が再開されたほか、7~8月は夏休みの短縮もあり、弁当惣菜市場が回復したことで、調理冷食全体も回復してきたものと見られる。

また、スナックでは「今川焼 あずきあん」が8月に2ケタ減となっているが、同月の他のスナック上位商品を見ると、同じ今川焼商品のニチレイフーズ「今川焼 カスタード」は前年比10.2%増、また日本水産「たこ焼き18個」が前年比9.6%増となっており、スナックカテゴリー全体が失速したとは捉えづらい。

平均単価の前年比増減率推移グラフを見ると、冷食の平均単価は5月まで上昇傾向にあったが、6月以降、前年同月は上回るものの、伸長率が下がってきている。コロナ禍の中ではチラシ特売自粛があり、それが復活したことの影響も大きいとみられるが、調理冷食に関して言えば、食卓惣菜・スナックは200円台~300円台の商品が多い一方、弁当惣菜は200円以下の商品が多く、販売ボリュームも大きい弁当惣菜の回復とともに平均単価が下がったという見方もできるだろう。

〈冷食日報2020年9月14日付〉

冷凍食品の販売金額はコロナ禍で増加、調理冷食は弁当惣菜の回復が押し上げ/2020年1~8月POS推移
(画像=調理冷食の合計および主要商品別売上高前年比増減率推移(KSP-POS))