車検
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中村 太郎
中村 太郎(なかむら・たろう)
税理士・税理士事務所所長。中村太郎税理士事務所所長・税理士。1974年生まれ。和歌山大学経済学部卒業。税理士、行政書士、経営支援アドバイザー、経営革新等支援機関。税理士として300社を超える企業の経営支援に携わった経験を持つ。税務のみならず、節税コンサルティングや融資・補助金などの資金調達も得意としている。中小企業の独立・起業相談や、税務・財務・経理・融資・補助金等についての堅実・迅速なサポートに定評がある。

法人・個人事業に関する使用車の車検費用は経費にできる。しかし、車検の明細書で見慣れない項目や書き方に遭遇し、スムーズに経理処理できなかった経験はないだろうか。今回は車検の定義をはじめ、車検費用の内容や車検の仕訳に使う勘定科目などを解説する。

目次

  1. 車検とは?
    1. 車検の方法
  2. 車検にかかる費用は2種類
    1. 1.点検・整備費用
    2. 2.法定費用
  3. 車検に使用する勘定科目は?
    1. 点検・整備料金の勘定科目
    2. 法定費用の勘定科目
    3. 自賠責保険料の勘定科目に関する取扱い
  4. 車検の勘定科目に関する消費税の課税区分
  5. 車検の勘定科目を使った仕訳例
    1. 車検の明細書
    2. 使用する勘定科目
    3. 車検の仕訳(税抜経理方式)
    4. 車検の仕訳(税込経理方式)
    5. 車検の仕訳(個人事業主)
  6. 車検の費用仕訳は手順にのっとればかんたんに

車検とは?

車検とは、道路運送車両法に定められた車両検査だ。車検の主な種類を以下に挙げる。

・再使用する自動車を検査する「新規検査」
・使用車について検査の有効期間を更新する「継続検査」
・構造や装置、性能が保安基準に適合していないと認められる車両に対する「臨時検査」
・使用車の長さや幅、高さなどを変更したときに実施する「構造等変更検査」
・使用者が決まる前に販売用自動車などを検査する「予備検査」
など

世間で車検と呼ばれるのは継続検査だ。初回は3年、それ以降は2年おきに検査を受ける。

車検の方法

車検では、車両の点検・整備を行い、国土交通大臣の検査を申請する手順を踏む。

ディーラーや自動車整備工場、ガソリンスタンド、車検専門チェーン店などによる車検サービスでは、一連の手続きを代行してくれる。

車検は、法的責任が使用者にあり、使用者自身でも実行できる。いわゆる「ユーザー車検」であり、主なパターンは以下のとおりだ。

・使用者自身が点検・整備を行い、必要書類をそろえて検査を申請する
・自動車整備工場が点検・整備を行い、使用者が検査を申請する

ユーザー車検の方法や必要書類などは、国土交通省のホームページで確認できる。

(参考)国土交通省HP「ユーザー自身が検査手続きを行う方法」

車検にかかる費用は2種類

点検・整備や検査を依頼する場合にかかる車検費用は、主に以下のとおりだ。

・車検を担当する自動車整備工場などに支払う「点検・整備費用」
・国や保険会社に支払う「法定費用」

1.点検・整備費用

整備工場などに支払う主な料金を以下に挙げる。

費用1.車検基本料金

一定の検査項目に沿って点検・整備を行うための費用である。明細上は点検料や技術料、整備費用などに分けて表示されることもある。

費用2.車検代行手数料

車検の代行を依頼するために支払う手数料だ。継続検査は、自動車の使用者に責任があるが、整備工場などにこれらを委ねる。手数料は、車検基本料金に含まれている場合もある。

費用3.部品交換費用

劣化部品の交換に要する部品代や交換費用である。点検中に発見された不具合について交換を検討していく。

明細書では車検基本料金と区別し、部品の固有名を表示するケースをよく見かける。

2.法定費用

法定費用とは、自動車に関連する法律が支払いを義務付けている費用だ。ディーラーや自動車整備工場など、車検の依頼先に金銭を預け、国や関係機関に支払ってもらう。

法定費用の内訳は自動車重量税や自賠責保険料、印紙代だ。

費用1.自動車重量税

自動車重量税は、自動車重量税法に基づいて、自動車の車体に対して課税される税金だ。納税義務者は「自動車検査証の交付を受ける者」などで、車検のタイミングで納税する。

乗用車に対する税額は車両重量0.5トンごとに増税される仕組みで、13年・18年の年数経過を境にさらに増税となる。ただしエコカーに該当すると、一定要件下の車検において減免措置が適用される。

自動車重量税は国税であるが、その一部が地方譲与税として都道府県や市町村の財源となっている。

費用2.自賠責保険料

自動車損害賠償保障法に基づく自賠責保険や自賠責共済の保険料をさし、車検のタイミングにあわせて更新手続きを行う。

交通事故の被害者を保護するために、契約の締結が法律で強制されている保険だ。

未加入の自動車を運転した場合、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられる。

費用3.印紙代

印紙代は、検査申請時に支払う検査手数料であり、印紙・証紙で支払う。継続検査の場合、小型乗用車や小型乗用車以外の区分などに応じて料金が変わる。

車検に使用する勘定科目は?

点検・整備や検査を依頼するパターンについて、車検の明細書や仕訳に関する勘定科目を確認していこう。

点検・整備料金の勘定科目

【車検基本料金の勘定科目】

修繕費は、固定資産の維持管理に必要な支出を示す勘定科目で、車両費は、ガソリン代など車両に関する支出を示す勘定科目である。管理しやすいほうを使って構わない。

【車検代行手数料の勘定科目】

支払手数料は、車検基本料金に含まれていれば別にする必要がない。

【部品交換費用の勘定科目】

修繕費や車両費の区別については、車検基本料金と同じでどちらでも構わない。

なお、修理・改良などが車の使用可能期間を延長させたり、価値を増加させたりする場合は、税務上の資本的支出にあたる可能性もある。

資本的支出にあたれば、該当支出を車両の取得価額として資産計上し、減価償却を行っていく。ただし、支出が20万円未満の場合や、修理・改良が約3年以内を周期とする場合、修繕費での処理が認められる。

この判定によって、車検の支出は損金算入が認められると考えてよい。なお、この判定は、法人も個人事業も同じである。

法定費用の勘定科目

【自動車重量税の勘定科目】

車検時に支払う自動車重量税は租税公課として扱う。

【自賠責保険料の勘定科目】

車検時に支払う自動車保険料は支払保険料に該当し、損害保険料と記載されることもある。基本的には自賠責保険料をさす。

【印紙代の勘定科目】

収入印紙代も租税公課に該当する。

自賠責保険料の勘定科目に関する取扱い

自賠責保険は、2年または3年が保険期間となり、車検のたびに更新する。

会計や税務では一定の契約に基づき、その事業年度後に利用していないサービスについて、前払費用や長期前払費用という勘定科目を使用する。

たとえば、12月決算の法人が7月に事務機器の保守料(24か月分)として2万4,000円を支払った場合を考えてみよう。7月から12月までの6か月分にあたる6,000円が当期の費用となる。

残りの1万8,000円についてはどうだろうか? 翌期首から1年以内に期限が到来する費用の勘定科目は前払費用、1年を超えて期限が到来する費用の勘定科目は長期前払費用となる。

【仕訳例】

借方金額貸方金額
支払手数料6,000円 現金24,000円
前払費用12,000円
長期前払費用6,000円

なお、税務上は短期前払費用の扱いというルールがある。支払日から1年以内にサービスの提供を受ける費用の場合、継続処理を条件に支払った事業年度の損金算入が認められる。

たとえば、毎年7月に12か月分を1万2,000円ずつ支払っている場合を考えてみよう。通常は、7月から12月までの6か月分にあたる6,000円を当期の損金に算入できる。

しかし、短期前払費用の要件を満たせば、7月に支払った1万2,000円の全額を当期の損金に算入できる。

ただし、自賠責保険料は保険期間が1年を超えてしまうため、短期前払費用のルールで損金に算入できない。そのため、前払費用や長期前払費用の勘定科目で処理しなければならないことになる。

自賠責保険料は一般的な保険契約とは異なり、契約が法律で強制される。更新しなければ自動車を利用できない。

こうした事情から、自賠責保険料については、支払った事業年度に一括して損金算入する仕組みになっている。

車検の勘定科目に関する消費税の課税区分

車検の勘定科目とあわせて消費税の課税区分も確認しよう。

支出項目課税区分
車検基本料金課税仕入
車検代行手数料課税仕入
部品交換費用課税仕入
自動車重量税不課税仕入
自賠責保険料非課税仕入
印紙代不課税仕入

車検の勘定科目を使った仕訳例

最後に車検の勘定科目を使って、明細書の例から仕訳を作成しよう。

車検の明細書

項目金額項目金額
車検基本料金20,000円自動車重量税16,400円
車検代行手数料9,000円自賠責保険料25,000円
エアコンフィルター交換代3,000円印紙代1,700円
オイルエレメント交換代2,000円
エンジンオイル交換代1,200円
小計(A)35,200円小計(C)43,100円
消費税額(10%)(B)3,520円消費税額0円
税込み価格合計(A+B+C)81,820円

(※)上記の金額はあくまで例なので、実際の相場とは関係ありません。

使用する勘定科目

使用する勘定科目は、次のとおりとする。

支出項目勘定科目
車検基本料金車両費
車検代行手数料支払手数料
エアコンフィルター交換代車両費
オイルエレメント交換代車両費
エンジンオイル交換代車両費
自動車重量税租税公課
自賠責保険料支払保険料
印紙代租税公課

車検の仕訳(税抜経理方式)

税抜経理方式を行う課税事業者の場合、仕訳例は次のようになる。

借方金額貸方金額課税区分
車両費26,200 現金81,820 課税
支払手数料9,000課税
租税公課18,100不課税
支払保険料25,000非課税
仮払消費税等3,520不課税

車検の仕訳(税込経理方式)

税込み経理方式の場合は次のようになる。免税事業者も同様だ。

借方金額貸方金額課税区分
車両費28,820 現金81,820 課税
支払手数料9,900課税
租税公課18,100不課税
支払保険料25,000非課税

車検の仕訳(個人事業主)

家事按分を仕訳時に行う個人事業主(税込経理方式)の場合、以下のように処理する。車を事業に使用している割合は6割とする。

借方金額貸方金額課税区分
車両費17,292 現金81,820 課税
支払手数料5,940課税
租税公課10,860不課税
支払保険料15,000非課税
事業主貸32,728不課税

事業主貸の勘定科目に各費用の4割を計上する。家事按分は決算時に行っても構わない。

車検の費用仕訳は手順にのっとればかんたんに

車検について、車検の基礎や費用、勘定科目、消費税の課税区分などについて解説した。車検の明細書から仕訳を入力する際の参考にしていただきたい。

文・中村太郎(税理士・税理士事務所所長)

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