
ベスリ
吉田 英司 代表取締役 産業医・心療内科医
【PROFILE】岡山大学医学部卒業。東京都健康長寿医療センターにて臨床研修後、米系コンサルティングファームのベイン・アンド・カンパニーに勤務し幅広い分野(医療ヘルスケア、不動産、IT、金融系等)の戦略や経営計画策定に従事。その後、病院への人事コンサルティング事業、海外ヘルスケア企業の日本参入プロジェクト、日本医療の海外輸出プロジェクト等と視野を世界に広げヘルスケア産業に関わる。医師としては専属産業医を歴任し、現在は産業保健の場で産業医業務や健康経営支援業務、臨床の場では内科・心療内科医として働く人の健康管理を行っている。 |
定年が70歳を超える時代が、すぐそこまで来ています。人生100年時代と言われるなか、働く期間も延び、健康に働き続けることがかつてないほど重要な課題になっています。
成果を上げ続けるには、スキルや経験だけでなく、それを支える心と身体の健康が不可欠です。健康を損ねれば、どれほど優秀な人でも仕事を続けることが難しくなり、キャリアの継続にも影響が出ます。
これまで健康管理は、どちらかといえば個人の責任とされてきました。しかし、私は産業医として15年にわたり、のべ1万人以上の健康相談に対応してきた中で、働き方や職場環境といった「個人では変えにくい要因」が健康に与える影響の大きさを、日々痛感しています。
特に長時間労働や強いプレッシャーのかかる職場では、本人の努力ではどうにもならない心身の不調が多く見られます。また、本人が「健康のために」と信じて行っている行動が、かえって逆効果になるケースも少なくありません。
たとえば、睡眠時間を確保しなければと早く床につくものの眠りにつけず悶々としたり、自己流の極端な食事制限をしてむしろ体調を崩したりしてしまうことがあります。情報があふれる今だからこそ、正しい知識に基づいた行動が求められています。
さらに注目すべきは、定年延長に伴い、これまで退職後に多く見られた心筋梗塞や脳卒中、がんといった重篤な疾患が、働いている期間に発症するケースが確実に増えていることです。
こうした背景をふまえ、本書『一生健康に働くための心とカラダの守り方』では、働く人が不調に陥るメカニズムを医学的な観点からわかりやすく解説し、日常生活の中で無理なく取り入れられるセルフケアの工夫を紹介しています。また、個人だけでなく、組織としてどのように健康を支えるかという視点についても触れています。
人事・労務の皆さんには、本書を通じて、社員が長く元気に働き続けられる職場づくりを進めるためのヒントとしていただければ幸いです。本書が、健康と仕事の両立を支え、組織の持続的な成長につながる一助となればと考えています。

1,800円+税
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