矢野経済研究所
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2024年度の理美容向け業務用化粧品市場は前年度比102.7%の1,611億円

~ヘアケアを中心とする物販(専売化粧品販売)が牽引、価格改訂による転嫁分も実績拡大に寄与~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の理美容向け業務用化粧品市場を調査し、市場規模、都道府県別やカテゴリー別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

理美容向け業務用化粧品市場規模推移・予測

理美容向け業務用化粧品市場規模推移・予測
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1.市場概況

2024年度の理美容向け業務用化粧品市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比102.7%の1,611億円となった。
理美容化粧品メーカー各社は、コロナ禍からの回復を背景に、新ブランドの立ち上げや既存の主力ブランドの大幅リニューアルを進めている。同時に原料価格高騰やエネルギー価格、物流費、人件費など製造コストの上昇により、価格改定を実施しており、販売実績が拡大した。また、個々の理美容サロンを起点としたECチャネルでの専売化粧品(店販品)の販売(物販)も引き続き好調に推移し、市場拡大に寄与している。
一方、食品やその他日用品の値上げが消費者の生活を直撃しており、サロンへの来店頻度や来店客のメニュー選定にも少なからず影響が出始めている。

2.注目トピック

美容室数の増加も倒産件数が拡大、スタッフ不足が深刻な問題に

厚生労働省によると、国内の美容室数は増加基調で推移し、美容師の国家試験合格者数も増加している。一方で、美容室の倒産件数が拡大している。
これまでも、理美容業界は顧客獲得のための人材確保や価格競争、店舗の出退店の動きが多い業界ではあった。コロナ禍でもゼロゼロ融資などのコロナ関連の資金繰り支援が支え、その期間は総じて倒産件数は低水準で推移した。その返済開始時期以降、売上げの伸び悩んだ理美容サロンを中心に返済が滞るなど、倒産に追い込まれる美容室が増加している。さらに、昨今の水道光熱費を含む美容資材の価格高騰や人件費の上昇が収益を圧迫している点も大きな要因になっている。

美容室は参入障壁が低く少額資本での参入が比較的容易であることから、倒産した理美容サロンの店舗後にもすぐに新規のサロンが出店するなど、倒産や新規出店による差し引きでは現在も国内の美容室数は純増で推移している状況にある。さらに、美容師免許取得者数も増加基調で推移するものの他業界への転職や結婚・出産による離職率の高さから、実際に働いている美容師数は減少傾向で推移しているとみられ、サロン現場におけるスタッフ不足は深刻な問題となっている。

3.将来展望

理美容化粧品メーカー各社は、理美容サロンのロイヤルカスタマーづくり戦略を中心に見据え、サロンでの美容体験に価値を見出す高付加価値メニュー提案と商品ポートフォリオの構築を進めている。加えて、ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)の観点に立ち、ヘアケアを中心とした自社商品へのサロンユーザーの取り込みを推進するべく、店頭起点以外における継続的関係性の維持を図り、収益性を重視した事業方針を強化している。

理美容向け業務用化粧品の価格改定の動きは、2023年から2024年に大手・中堅メーカーを中心に相当程度進んでおり、2025年度には価格改定効果も一巡する見込みである。理美容サロンの出店過多の動きや美容人口の減少という構造的要因によるサロン経営への影響を考慮すると、今後、理美容向け業務用化粧品市場は横ばいから減少トレンドで推移していく見通しである。

調査要綱

1.調査期間: 2025年1月~3月
2.調査対象: 理美容化粧品メーカー、理美容化粧品商社・ディーラーその他、理美容関連協会・団体、理美容関連企業
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
<理美容向け業務用化粧品市場とは>
本調査における理美容向け業務用化粧品市場とは、国内理容所(理容室)と美容所(美容室)で主に毛髪に関する施術に供するために必要な業務用化粧品全般、及びサロン利用客を対象に販売するサロン専売のホームケア化粧品の市場をさす。
原則として、宿泊施設・エステティックサロン等で使用されている業務用化粧品は含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
理美容化粧品(ヘアカラー剤、パーマネントウェーブ剤、ヘアケア剤、スタイリング剤、その他:スキンケア/メイク等)

出典資料について

資料名2025年版 理美容化粧品マーケティング総鑑
発刊日2025年03月27日
体裁A4 295ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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