
2030年度の衛星データ活用サービス市場規模を340億円と予測
~民需での衛星データ利用拡大や官需の堅調推移、国策での宇宙関連ビジネス強化の流れを追い風に、市場は高伸長が継続する見通し~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の衛星データ活用サービス市場を調査し、関連市場規模、需要分野別の動向、将来展望などを明らかにした。ここでは、衛星データ活用サービス市場規模推移・予測について、公表する。
衛星データ活用サービス国内市場規模推移・予測

1.市場概況
従来、人工衛星から得られる画像や各種データは利用料(販売価格)がかなり高額であった上に、データ品質面や機能面での限界もあり、需要先は限定的であった。しかし、近年では衛星データ利用料の低廉化が進み、かつ収集データの多様化[光学衛星画像データ、SAR(合成開口レーダー)衛星データ、その他各種センサーデータなど]や、データ品質の向上(解像度の向上)なども進展したことから、従来の官公庁・自治体需要(以下、官需)だけでなく、様々な民間需要(以下、民需)の開拓が進んでいる。
衛星データ・画像の活用領域としては、行政の一般業務(土地測量/家屋異動判読、耕作放棄地確認など)に加えて、防災関連業務、社会インフラ監視、農林水産・畜産(圃場モニタリング業務など)、自然・地理/環境計測、金融(保険額算定支援、先物市場向けデータなど)、建設・土木(地盤変動監視、建設進捗管理、建機・重機の自動運転支援など)、物流(海運、陸運などでの位置情報・トラッキングデータなど)等のビジネス・業務支援用途などがある。
2.注目トピック
AI活用の拡大に牽引され、民需が拡大する見通し
時系列的にみると、衛星データ活用ビジネスは2000年頃まではほぼ官需に依存していたが、2000年代に入ってからは徐々に民需が拡大している。ただ、現状ではまだ官需が牽引しており、2024年度の衛星データ活用サービス市場では、全体の9割弱が官需の見込みである。
今後も官需はマーケットの中心的な存在を占めるが、徐々に民需の伸び率が上回るようになり、2030年度の官需比率は8割ほどに低下すると予測する。
なお、生成AIを始めとしたAI活用シーンの広がりは、人工衛星から得られる画像や各種データ自体の価値を高める効果があり、結果として衛星データ活用ソリューションサービスの価値向上による衛星データ活用ビジネスの追い風となっている。
特に、民需向け衛星データ活用では、画像やデータと連動したAI活用での期待が大きい。例えば、社会インフラ監視において衛星画像による劣化診断が可能になれば、従来の目視点検による点検モデルを変えるソリューションとなる。これにより、目視点検といった人手による点検から、衛星画像解析点検による効率化の実現が期待される。
3.将来展望
2023年度の衛星データ活用サービス国内市場(事業者売上高ベース)は、前年度比13.0%増の182億円となった。2023年度はコロナ禍によるプロジェクトの保留・見合わせが一段落し、予定していたプロジェクトの再稼働が追い風となり、主要ベンダーにおける関連売上高は好調であった。併せて需要家サイドでの人手不足の影響や業務効率化に向けた取り組みが進展し、衛星データ活用サービスが採用されている。
2024年度は、有力宇宙ベンチャーが好調であった上に、大手ITベンダーの衛星データ活用ソリューションの取り組みも堅調に推移する見込みである。さらにJAXA戦略宇宙基金に牽引される形で、周辺領域における衛星データ活用に関わるPoCが進展したこともあり、市場は引き続き高伸長を継続し、2024年度の衛星データ活用サービス国内市場は同11.0%増の202億円を見込む。
調査要綱
1.調査期間: 2024年12月~2025年4月 2.調査対象: 宇宙関連事業者(衛星データ・衛星画像販売、衛星データ活用ソリューションサービス、衛星開発・製造・運用など)、ITベンダー、測量会社など 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話調査、ならびに文献調査併用 |
<衛星データ活用サービス市場とは> 衛星データ活用ビジネスには、自社運用する衛星のデータ・画像を販売したり、外部購入している衛星データ・画像を販売する「衛星データ・衛星画像販売」と、衛星データ・画像を基にした分析・解析サービスやコンサルティングサービスなどを提供する「衛星データ活用ソリューションサービス」などがある。 衛星データ活用ビジネスの調査対象は以下の通り。 ・官公庁・自治体(一般業務:土地測量/家屋異動判読、耕作放棄地確認など) ・官公庁・自治体(防災関連業務) ・社会インフラ監視(道路、鉄道、エネルギー設備、港湾、空港等のモニタリング業務など) ・農林水産・畜産(圃場モニタリング業務など) ・自然・地理/環境計測 ・金融(保険額算定支援、先物市場向けデータなど) ・建設・土木(地盤変動監視、建設進捗管理、建機・重機の自動運転支援など) ・物流(海運、陸運などでの位置情報・トラッキングデータなど) 本調査における衛星データ活用サービス市場とは、衛星データ・衛星画像販売(光学衛星画像、SAR衛星画像など) 、衛星データ活用ソリューションサービスなどを対象として、事業者売上高ベースで算出した。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 衛星データ・衛星画像販売、衛星データ活用ソリューションサービスなど |
出典資料について
資料名 | 2025 衛星データ活用ビジネスの実態と展望 ~分野別/用途別の衛星データ活用実態の徹底分析~ |
発刊日 | 2025年04月21日 |
体裁 | A4 170ページ |
価格(税込) | 220,000円 (本体価格 200,000円) |
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