矢野経済研究所
(画像=igishevamaria/stock.adobe.com)

2024年のベビー・こども服小売市場規模は前年比100.2%の8,405億円と予測

~少子化傾向が続く中、市場は販売価格の値上げやインバウンド需要の拡大等で横ばいを維持~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のベビー・こども服市場を調査し、市場規模や商品動向、チャネル別動向などを明らかにした。

ベビー・こども服の国内小売市場規模推移・予測

ベビー・こども服の国内小売市場規模推移・予測
(画像=矢野経済研究所)

1.市場概況

2023年のベビー・こども服国内小売市場規模は前年比102.6%の8,385億円となり、商品単価の値上げやインバウンド(訪日外国人客)需要の回復等により3年連続プラスで推移した。市場は2020年の新型コロナウイルス感染拡大の影響による大幅な減少以降、ここ数年はほぼ横ばいから微増で推移しているが、コロナ禍前の2019年の水準には戻っていない。
国内の少子化が止まることなく進んでいる中でもベビー・こども服小売市場規模が縮小していない背景には、価格訴求力のあるベビー・こども服関連専門店チェーンやカジュアル衣料品店への消費者の安定した支持があることなどが挙げられる。

2.注目トピック

各社の原価高騰に対する取り組み

製造原価の高騰はコロナ禍であった2021年頃から起こり、現在まで続いている。その要因としては円安や賃金の上昇、資材価格及び輸送費の高騰などが挙げられる。2021年頃までは原価が高騰しても販売価格にすぐには転嫁しないケースが見られていたが、上昇し続ける高騰分を負担することに限界が来ており、各社とも直近2~3年は価格改定が多くみられている。
また、食料品や公共料金、ガソリン代などの値上げは家計にダメージを与えており、衣料品の購入意欲、購買機会にも少なからず影響を与えている。

このような中で各社は販売価格の値上げを検討し、実際に価格改定を行う場合には極力上昇幅を抑えられるように、生産工程の見直しや不良在庫の抑制を図っている。また、改定後の価格を消費者に納得してもらえるよう、製品の高品質化にも努めている。

3.将来展望

2024年のベビー・こども服国内小売市場規模は、前年比100.2%の8,405億円とほぼ横ばいを予測する。今後については、数年は横ばいを維持しながらも少子化に伴い縮小していくと推測するが、各社の事業取り組みにおいて、商品単価アップによる利益改善を図る動きが奏功すれば、市場自体は大きく落ち込むことはないと考える。

ベビー・こども服関連専門店チェーンによっては海外展開を視野に入れて、より注力していく動きも出てきている。海外で5年先や10年先を見据えた場合、各国のべビー・子供服の需要構造とトレンドを早い段階で把握していくことが必要と考えられる。国により地域差はあると思われるが、低価格帯を比較的好む日本国内よりも高価格帯アイテムへのニーズはあると思われ、ベビー・子供服事業を拡大するには、海外進出を含めた高価格帯戦略が今後より重要になる。
商品においては、消費者のニーズに応える開発がポイントである。今後ますます品質や安全性、環境に配慮した製品が重視される傾向にあり、これらに加えてデジタル販売の拡大、高付加価値商品の強化が事業成長に寄与していくと考える。

調査要綱

1.調査期間: 2024年12月~2025年3月
2.調査対象: ベビー・こども服市場に参入している小売業、卸売業、製造業、その他関連企業
3.調査方法: 当社専門研究員による直接取材、郵送アンケート調査、ならびに文献調査併用
<ベビー・こども服小売市場とは>
本調査におけるベビー・こども服とは、ベビー、こども用に考案・製造された衣料品(洋服・洋品)を指し、「ベビー(0~1歳程度、サイズ50~80cm)」「トドラー・キッズ(2~6歳程度・園児、サイズ80~120cm)」「スクール・ジュニア(7~14歳程度・児童、サイズ120~160cm)」のサイズを対象とし、市場規模は小売金額ベースで算出した。
企業によってサイズ分類の仕方は異なるが、概ね上記を目安としている。なお、衣料品以外の雑貨類は含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
ベビー・こども服(洋服・洋品)

出典資料について

資料名2025 ベビー・こども服市場年鑑
発刊日2025年03月28日
体裁A4 261ページ
価格(税込)198,000円 (本体価格 180,000円)

お問い合わせ先

部署マーケティング本部 広報チーム
住所〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
電話番号03-5371-6912
メールアドレスpress@yano.co.jp

©2025 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。