
2030年度の新設戸建住宅着工戸数は2023年度比約1割減の32万1,000戸と予測
~今後も人口減少に加えて、建設費や住宅ローン金利は上昇傾向で推移すると考えられることから、国内の新設戸建住宅着工戸数は減少傾向で推移する見込み~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の戸建住宅市場を調査し、現状及び将来展望を明らかにした。ここでは、新設戸建住宅着工戸数予測について、公表する。
国内の新設戸建住宅(持家+分譲住宅)着工戸数の推移・予測

1.市場概況
国内の新設戸建住宅市場は人口減少といった構造的な要因や、建設費高騰に伴う住宅価格高騰等などの厳しい市場環境から、2018年度以降は減少傾向で推移している。そのような厳しい市場環境の中でも、建売住宅(戸建分譲住宅)は比較的堅調な市場となっている。住宅価格の上昇に伴い、パワービルダー(低価格の建売住宅に特化した住宅販売会社)が提供するような割安感のある建売住宅のニーズが増加しているからである。
近年では、注文住宅の販売が主力であった大手ハウスメーカーも、建売住宅の販売を強化する動きも見られる。その理由は、割安感のある建売住宅へのニーズの増加に加え、建売住宅は事業者にとって営業や顧客の要望に応じた設計の時間等が削減できるため、比較的高い利益を確保出来る傾向があるからである。
2.注目トピック
ハウスメーカーは幅広い商品ラインアップで事業を展開
近年、戸建住宅は量から質の時代となり、消費者の価値観も多様化している。それらに対応するため、ハウスメーカーでは幅広い商品ラインアップで事業を展開している。
幅広い商品ラインアップの一つとしては、環境配慮型住宅が挙げられる。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅等の環境配慮型住宅については、社会的なニーズも高まっている事から、ハウスメーカー各社とも積極的に取り組んでいる。
その他、近年、建設コストの上昇等によって住宅価格が高騰している中、消費者心理の悪化の食い止めを図るため、品質を保ちながら低価格化の商品として、「規格住宅」に注力しているハウスメーカーが増加している。
「規格住宅」は注文住宅と建売住宅の中間に位置するような住宅であり、ある程度間取り等の選択パターンは限定されるものの、品質は注文住宅とほぼ同様のものとなっている。プランが限られている事から、設計コストが削減され、注文住宅と比較して低価格化を実現している。
3.将来展望
2030年度の国内の新設戸建住宅着工戸数は32万1,000戸(2023年度対比90.9%)と予測する。
今後も、人口や世帯数は引き続き減少傾向で推移する事が考えられ、また、建設コストや住宅ローン金利の上昇など新設戸建住宅市場には向かい風の要因がある事から、新設戸建住宅着工戸数は減少傾向で推移するものと考える。
調査要綱
1.調査期間: 2025年1月~3月 2.調査対象: 戸建住宅事業に取り組む事業者(ハウスメーカー、ビルダー、工務店等) 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、法人アンケート調査、ならびに文献調査併用 |
<戸建住宅市場とは> 本調査における戸建住宅市場とは、国内の新築戸建住宅(注文住宅、建売住宅、建替住宅)市場、及び中古戸建住宅市場を指す。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 新築戸建住宅(注文住宅、建売住宅、建替住宅)、中古戸建住宅 |
出典資料について
資料名 | 2025年版 住宅メーカーの展望と戦略(戸建住宅市場総覧) |
発刊日 | 2025年03月25日 |
体裁 | A4 621ページ |
価格(税込) | 198,000円 (本体価格 180,000円) |
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