「茨城県境町×ユナイテッドアローズ 包括連携パートナーシップ締結発表会」が11月25日、都内で開催された。このプロジェクトは、アパレルブランド・ユナイテッドアローズ(以下、UA)が地域創生の一環として「町の応援団」としての役割を担い、新たな地域協創モデルの実現を目指すというもの。UAのセレクト編集力と境町の地域創生力を活用し、町の魅力を発信・プロデュースする。
具体的には、建築家・隈研吾氏がデザインした移動式“観光案内所”「ユナイテッドアローズ スタンド」の設置や、名産品・梅山豚プロシュートやさしま茶を活用したコラボレーション企画、町内の小中学校には新たなデザインの体操服の展開が行われる。また、ふるさと納税返礼品として、クラフトビールや日本酒のコラボ商品も用意する。
ふるさと納税寄付額で7年連続関東1位、北関東エリア「子育てしやすい町」ランキング1位(「田舎暮らしの本」主催「2024年版 第12回 住みたい田舎ベストランキング」、「12エリア別 住みたい田舎ベストランキング」北関東エリア「子育て世代部門」・「若者世代・単身者部門」1位)を誇る境町のこれまでの実績を背景に、さらなる地域の活性化を図るという。
登壇したUA代表取締役社長CEOの松崎善則氏は、「境町の魅力をUAの視点で全国に発信していくことと、町の人々をUAの力で応援していくこと」と目標を掲げた。「街の創生力、創造力、発信力が優れた自治体」と境町を評価し、「ヒト、モノ、ウツワの編集をして町に新しい価値提供をしたい」とコメント。境町を「明るく、おしゃれに、笑顔に」していきたいという。
境町の町長・橋本正裕氏は、「2万4000人の小さな町なので、そんなところがUAと何をするんだろうと思われるのではないか」と謙遜するが、「子どもたちへのSDGsであったり、服の廃棄の問題であったりを子どもたちの段階から教えていくことも、われわれの責務」と、しっかりとした学びの場所を提供したいとコメント。UAと自治体のコラボは初の試みということで「地方創生へ、ほかの自治体も声がどんどん上がってくるように、全国にしっかりとつなげていきたい」と抱負も語った。
両者にかかわりの深い小松マテーレ 代表取締役社長の中山大輔氏は、「ナイロン製品の染色・後加工での協力をしていきたい。また、隈先生との建材のかかわりもあり、プロダクトパートナーとして素材面、技術面でしっかりとサポートしていきたい」と話す。
UA 開発本部の岩野徳郎氏は、具体的な取り組みを紹介。町の広報誌制作や境町が長野県軽井沢に購入した保養所の内装・外装デザインのプロデュースなども手掛けるという。「単品ではなく包括的な取り組みが町の地域創生だと思うので、そちらを深めていきたい」と町との密接なつながりを強調した。
「境町で8軒の建築を手掛けて、日本の自治体の中で一番の数」とコメントした隈氏。スタンドのデザインにはUAの「U」をモチーフにしたという。「『U』には、いろいろな意味がある。“ユナイテッド”には、つなぐという意味もあるし“ユニバーサル”には、男女、若い子どもからお年寄りまでのユニバーサルシティがある。“ユビキタス”は、どこでも遍在することや、最終的に“ユニバース”で宇宙までつながる。いろんな素敵な意味を併せ持つ『U』をモチーフにして、いろんな機能がさまざまな所に行くことができる」とコメントした。
自治体と企業が密接に結びついた今回の連携プロジェクトが、地域の魅力をどのように再定義し発信していくのか注目される。
ユナイテッドアローズ=https://www.united-arrows.co.jp/
茨城県境町=https://www.town.ibaraki-sakai.lg.jp/