方法,経営者,資金調達
(画像=Natee K Jindakum/Shutterstock.com)

ビジネスを営むためには、相応の資金が不可欠となってくる。では、その調達手段にはどのようなものがあるのだろうか?本記事では資金調達における3つの手法を取り上げる。さらにクラウドファンディングなど新たな資金調達手段も紹介しつつ、それぞれの違いやメリット、デメリットなどについても解説していく。

資金調達における3つの方法

結論からいえば事業資金の主要な調達手段は以下の3つである。

  1. アセットファイナンス(自己所有資産を活用する資金調達)
  2. デットファイナンス(融資や手形割引による資金調達)
  3. エクイティファイナンス(株式などの発行による資金調達)

さっそく3つの手段のスキームやそれぞれのメリットなどについて見ていこう。

1.アセットファイナンス(自己所有資産を活用する資金調達)

アセットファイナンスとは、自分が所有する資産の信用力を裏づけとして資金の提供を受けるものだ。不動産や動産、売掛債権、知的財産権などの所有資産が将来的にもたらす収益を担保として融資を得られる。その企業の信用力ではなく所有する資産の個別価値が融資を引き出すことが特徴だ。また別の表現を用いれば所有する資産を証券化して資金を調達するというスキームである。

アセットファイナンスのメリットは、保有する資産をオフバランス化(バランスシートへの計上対象から除外)できることにある。そうすることで保有資産を圧縮して効率的に事業を展開できるうえ資産価格の変動リスクも軽減することが可能だ。ただしアセットファイナンスは着実にキャッシュフローをもたらす資産を所有していなければ用いることが不可能である。

2.デットファイナンス(融資や手形割引による資金調達)

自社の信用力に基づき融資や手形割引(手形の満期前換金)、社債発行などで資金を調達するのがデッドファイナンスだ。デットは英語のDebtのことで和訳すれば「債務・負債」を意味しバランスシートの右側(負債の部)に計上されるものである。言い換えれば原則としてデットファイナンスは返済義務を負うものだ。手形割引にしても万が一不渡りになった場合には、買い戻すことが求められる。

銀行が産業の血流を生み出して間接金融が中心だった日本では、デットファイナンスが非常にポピュラーな資金調達手段の一つだ。しかし利息の支払いというコストが生じるため、信用力が高くない企業は負担が大きくなったり資金が調達できなかったりすることもある。

3.エクイティファイナンス(株式などの発行による資金調達)

エクイティは英語でEquityのことで和訳すれば「株式資本」を意味する。つまりエクイティファイナンスは株式などを発行してそれを購入してもらうことで資金を調達するというものだ。デットファイナンスと違って返済の義務が生じたり利息の支払いコストがかかったりしない。また株主の増加に伴って資本が拡大することで財務体質が強化されることになる。

ただ発行株式数が増えると1株あたりの価値は希薄化するので既存の株主に納得してもらえる合理的な理由も必要だ。さらに大口の株主が経営に口を挟んでくる可能性も考えられる。したがって返済義務がないからといって、むやみにエクイティファイナンスを乱発して資金調達を行うことは考えものだ。

目指しているゴールによっても資金調達の手段は変わってくる

先述した3つ手段の中からどれを選ぶのがベストなのだろうか?アセットファイナンスについては、キャッシュフローをもたらす資産を有しているなら、おのずと選択肢に入ってくるだろう。デットファイナンスとエクイティファイナンスについては、自分自身がビジネスを通じてどのようなゴールを目指しているのかによっても答えが異なる。

具体的に以下の2つのようなケースでは、それぞれに選択すべき手段が違ってくる。

  • ビジネスを拡大させたい場合は、エクイティファイナンスで活路を開く
  • 自分自身の目が行き届く範囲にとどめておきたい場合は、デットファイナンスを選ぶ

ビジネスを拡大させたい場合は、エクイティファイナンスで活路を開く

自らの可能性を追求して事業領域や会社の規模を拡大していきたいのであれば「出資」を得られるように戦略を練るのが賢明だろう。特にスタートアップ企業は早期の黒字化が難しいケースも多く返済の負担は大きな重荷となりがちである。それよりも手掛けている事業の魅力や将来性について訴えかけ積極的に出資を募ることによって活路を見出していきたいところだ。

しかも融資と違って出資はバランスシートにおいて純資産の部に計上される。純資産が増えれば自己資本比率の上昇に結びつく。将来的にIPOを念頭に置いて起業した場合は、できるだけ早い段階からエンジェル(起業家を支援する投資家)やベンチャーキャピタル(VC)の出資を受けるのが望ましい。

自分自身の目が行き届く範囲にとどめておきたい場合は、デットファイナンスを選ぶ

あくまでスモールビジネスにとどめて自分自身の目が届く範囲で事業を営んでいきたいのならデットファイナンスの中でより適切な選択肢を見つけていくのが無難だろう。出資の場合は相応の結果を期待されるため、特に事業を拡大する意欲がない場合は余計なプレッシャーを感じかねない。どこで資金調達を行うのがよいかについては、「自分の信用力」「必要としている金額」「利息負担」で異なる。

そのため将来資金調達の必要に迫られることも念頭に置き長く親密に付き合っていけそうな金融機関を選ぶ発想も求められてくるだろう。金融機関によって融資に対するスタンスは異なっているため、例えばメガバンクで断られたとしても地方銀行や信用金庫などの地域に密着した金融機関では応じてくれるというケースも少なくない。

赤字決算だと審査は厳しくなるが、会計上において特別損失として処理できる一過性のものであれば融資に踏み切ってくれることも十分にある。特に信用金庫や信用組合のような地域へ密着した金融機関は、地域活性の役割を担っているため大手よりも柔軟に対応してもらえると証言する中小企業経営者も少なくない。

経営者が押さえておきたい!5つの資金調達方法

経営者としては会社の血液ともいえる資金が枯渇してしまわないように対策を練っておくことは重要な仕事の一つだ。売上が大きく伸びて黒字化していても資金繰りがままならないようでは黒字倒産となる可能性もある。そこでここでは経営者が押さえておきたい5つの資金調達方法を確認していく。

  1. 日本政策金融公庫や信用保証協会の融資
  2. ファクタリング
  3. クラウドファンディング・ソーシャルレンディング
  4. 公的機関などの補助金・助成金
  5. 親族や知人などから個人的に借りる

1.日本政策金融公庫や信用保証協会の融資

創業前後の企業で民間の金融機関などから融資を引き出すのが困難な場合、公的な制度の利用も検討したい。例えば日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や信用保証協会の「制度融資」がある。

・新創業融資制度は金利が低い
新創業融資制度は原則無担保無保証人で融資の決定に至る過程もスピーディーだ。融資限度額は3,000万円で1,500万円までは運転資金に充てられる。そのうえ民間の金融機関と比べて相対的に金利が低いことが特徴だ。ビジネスがヒットせず経営破たんに追い込まれたとしても起業家(個人)が借金返済の義務を負うこともない。

・制度融資はスタートアップでも借りやすい
制度融資については、信用保証協会から信用保証を得ることが前提条件だ。しかし中小企業を対象としておりスタートアップでも信用保証を得やすい。制度融資では利息とは別に信用保証協会に保証料を支払う必要があり、その金額は手掛けているビジネスが抱えるリスクに応じて異なる。融資自体は民間の金融機関で行うのが特徴だ。

金利は返済年数によって上限こそ決まっているが融資する金融機関がその範囲内で自由に設定できるため借入申し込みを行う金融機関へ確認が必要になる。

2.ファクタリング

ファクタリングとは、未回収の売掛金を買い取ってもらったり売掛債権に保険をかけてもらったりするサービスでアセットファイナンスの一種だ。大きく分けると「買い取りファクタリング」「保証ファクタリング」の2つのサービスがあり資金調達に用いるのは前者だ。買い取りファクタリングとは、手元の運転資金などが不足する場合などに未回収の売掛金を現金化して(買い取って)もらえるというサービスである。

ファクタリングを利用すれば、売掛金から所定の手数料を差し引いた現金を受け取ることが可能だ。担保も不要で主に取引先(売掛金を支払うべき相手)の信用力に問題がなければ調達が検討できる。

3.クラウドファンディング・ソーシャルレンディング

近年、日本でも普及を遂げてきたクラウドファンディングやソーシャルレンディングも新たな資金調達の手段として注目しておきたい。クラウドファンディングとソーシャルレンディングはどちらもインターネットを介してさまざまテーマをもとに賛同者を募り資金を集めるという資金調達方法だ。クラウドファンディングは、大きく分けると「融資型」「購入型」「株式型」「寄付型」の4タイプがある。

このうち融資型はソーシャルレンディングと同義だ。

・融資型(ソーシャルレンディング)のメリット・デメリット
融資型とは、クラウドファンディングのスキームを用いて不特定多数の人たちからファンドを通じてお金を借りるというものだ。金融機関が聞く耳を持たなかった案件であっても希望以上の資金を調達できる可能性もあることはメリットといえる。しかし金融機関が提示している貸出金利よりも高めに設定しなければ資金が集まりにくい点はデメリットだ。

・購入型のメリット・デメリット
購入型とは、自分が世に送り出そうとしている商品・サービスをクラウドファンディングによってより多くの人に購入してもらうというものだ。市販に踏み切る前にマーケティングを行える(ニーズを察知できる)というのが、メリットの一つである。しかしクラウドファンディングを利用したからといっても商品やサービスに魅力がなければ購入されるとはかぎらない。

またインターネット上で公開してしまうことで内容を盗用されてしまう可能性があることはデメリットだ。

・株式型のメリット・デメリット
株式型とは、クラウドファンディングを通じて広く出資を募るというもので返済の必要はない。最大のメリットは非上場会社であっても資金調達が期待できることだ。しかし出資した会社がIPOを果たさないと投資家はリターンが得られず、資金が集まりにくいという一面もある。

・寄附型のメリット・デメリット
寄附型とは、その名の通り寄附を前提に資金調達を行うもので投資家へ利息や分配金を渡したり商品を渡したりするような見返りはない。プロジェクトの内容に魅力があり投資家から賛同を得られれば集まった資金は寄附という形で受けることができる点はメリットだ。寄附した側は寄附金控除を利用することで税制優遇を受けることもできる。

しかしほかのタイプと同様に資金が目標額に達しなければ資金を得ることができない点はデメリットだ。

4.公的機関などの補助金・助成金

国や地方自治体が補助金や助成金を設けているケースがある。例えば「創業支援事業者補助金」や「地域創造的起業補助金」といった制度がある。これは支援を求める事業者を公募し申請が通れば国から経費などの資金が補助されるというものだ。申請作業がかなり面倒なのがデメリットではあるものの補助金の返済は不要なため対象となる事業者は積極的に活用を検討したい。

5.親族や知人などから個人的に借りる

もし親族や知人が融資や出資に応じてくれる場合は力を貸してもらうことも選択肢の一つだ。近しい間柄の場合、借金なら「出世払い」という条件も導けるかもしれない。また出資においてもほかの株主ほどプレッシャーはかけてこないだろう。ただし親しい間柄だといっても金銭消費貸借契約書を作成し金利や返済方法、返済期間などについてしっかりと決めておくことが賢明だ。

金銭消費貸借契約書がない場合は借入内容についてトラブルになったとき「水かけ論」へ発展しやすい。また契約書なしに年間110万円を超える金銭のやりとりがある場合は贈与とみなされる可能性もあるため十分に注意しておこう。

必要に迫られてではなく「攻め」の資金調達を目指そう!

経営者にとって5つの資金調達方法はしっかりと押さえておきたい。新しいサービスであるクラウドファンディングや公的制度など自分にはどのような選択肢があるのかは常に模索しておくことが重要だ。どの資金調達方法を活用するにしても心がけたいのは「攻め」のスタンスで臨むことだろう。「必要に迫られてから動く」という後手の対応ではなく常に先手を打って調達を検討しておくことが大切だ。

文・大西洋平(ジャーナリスト)