産業機器やEVへの搭載により、2033年の非放射型ワイヤレス給電世界市場は、1兆824億円規模へ成長を予測
~マイクロ波方式による国内の空間伝送型ワイヤレス給電市場は多彩なアプリケーションへの展開などで2030年には1,685億円規模へ拡大見通し~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2024年のワイヤレス給電市場を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
非放射型ワイヤレス給電(送電・受電モジュール)世界市場規模推移と予測
国内の空間伝送型ワイヤレス給電(送電・受電モジュール)の市場規模推移と予測
1.市場概況
現在、非放射型のワイヤレス給電は小型電子機器を中心として成長しており、2023年の非放射型ワイヤレス給電(送電・受電モジュール)世界市場規模を、事業者売上高ベースで5,072億8,400万円と推計した。市場をけん引しているのは、スマートフォンやウェアラブル機器(スマートウォッチ、スマートバンド、イヤホン等)に搭載されたワイヤレス給電モジュールであり、AGVや搬送機器、建設機器など産業機器向けも堅調に成長している。一方、一番期待されているEV(電気自動車)向けのワイヤレス給電システムはまだ研究開発や実証実験が主に行われており、本格的な立ち上がりは2030年以降になると予測する。
2.注目トピック
空間伝送型におけるビジネスは世界的にもベンチャー主体の現状=「まだ狙える要注目市場」
国内では2022年5月に電波法が一部改正され、数m以上先のセンサやデバイスにマイクロ波を用いる電磁波エネルギーを使って給電する、空間伝送型の技術が実用化された。一定の要件を満たす室内、小電力に限定されるが、2023年から関連企業のビジネスが始まっている。
2023年の国内空間伝送型ワイヤレス給電(送電・受電モジュール)市場規模は、事業者売上高ベースで23億円と推計する。現状では法規制があるため、製造現場のIoTセンサ等の用途に限られており、FA・物流機器やオフィスビルの空調や照明コントロール機器などのワイヤレス給電モジュールが中心となっている。現在のところ、世界的に空間伝送型のワイヤレス給電ビジネスを行っているところの多くがベンチャー企業である。
3.将来展望
現在、小型電子機器向けを中心に成長している非放射型ワイヤレス給電世界市場は、今後は製造現場の自動化による産業機器向けモジュールの成長や、EVにおけるワイヤレス給電システムの搭載によって順調に成長していき、2033年の非放射型ワイヤレス給電(送電・受電モジュール)世界市場は1兆824億円規模に達するものと予測する。
また、空間伝送型ワイヤレス給電ビジネスはFA・物流機器でのさらなる拡大の他、ビルマネジメント分野や介護・見守り機器などの多様なアプリケーションへの展開などで2030年の国内空間伝送型ワイヤレス給電(送電・受電モジュール)市場は1,685億円、2040年には8,418億円規模に達するものと予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2023年9月~2024年1月 2.調査対象: ワイヤレス給電関連企業(非放射型、空間伝送型のメーカー) 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用 |
<ワイヤレス給電とは> ワイヤレス給電の方式は、大きく非放射型と放射型に分けられる。 非放射型のワイヤレス給電には、磁界エネルギーを介在して給電する電磁誘導方式や磁界共鳴方式、電界エネルギーを介在して給電する電界結合方式があり、放射型より周波数が低い数十kHzから数MHz程度の周波数帯域が割り当てられ、使われている。 一方、空間伝送型(放射型)は、電磁波エネルギーを介在して給電するマイクロ波方式やレーザー方式があり、近傍領域で給電する非放射型に比べて、数m以上の遠距離での無線給電が可能となる。 本調査におけるワイヤレス給電市場は、これらの方式で使用される送電モジュール・機器、受電モジュール・機器を対象として、事業者売上高ベースで算出した。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 非放射型と空間伝送型に用いられるワイヤレス給電システムの送受電モジュール・機器 |
出典資料について
資料名 | 2024年版 ワイヤレス給電市場の現状と将来展望 ~非放射型と空間伝送型を中心に~ |
発刊日 | 2024年01月29日 |
体裁 | A4 155ページ |
価格(税込) | 275,000円 (本体価格 250,000円) |
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