ラクオリア創薬株式会社(4579) は、2024年2月14日開催の取締役会において、ファイメクス株式会社(神奈川県藤沢市)の株式を取得し、子会社化することを決議した。
ラクオリア創薬は、医療分野においてニーズの高い疾患領域での新たな医薬品を生み出すことを目指す、研究開発型の創薬企業。
ファイメクスは、タンパク質分解を作用機序とした新規医薬品の研究開発を進める創薬ベンチャー企業。
【株式取得の理由】
ラクオリア創薬がファイメクスを子会社化することにより、以下の3点でグループの事業の拡大を見込む。
① 創薬バリューチェーンの強化による当社事業の成長性と競争力の向上
ラクオリア創薬は、2022年より「モダリティ」、「創薬標的」、「疾患領域」及び「基盤技術」という4つの切り口で、次世代の自社創薬バリューチェーンを確立することを目指し、複数のスタートアップや創薬ベンチャー企業との協業を進めている。ファイメクスのRaPPIDS™プラットフォームにより、標的タンパク質分解誘導剤という新たなモダリティに進出するための基盤技術を手にし、これまでアンドラッガブルであった標的分子や疾患領域をも創薬の対象とすることができる。本件により、次世代の自社創薬バリューチェーンの強化が大きく前進することが期待される。
② プラットフォーム型ビジネスによる収益の増加
ファイメクスは、現在、アステラス製薬との間で複数の標的に対する共同研究を実施中であり、当該共同研究の進展によるマイルストン、製品化後のロイヤルティや販売マイルストン等の収益が得られる可能性がある。
標的タンパク質分解誘導剤への注目度は特に海外において高く、米国における類似企業(例:Arvinas (NASDAQ: ARVN)、C4 Therapeutics (NASDAQ: CCCC)、Kymera Therapeutics(NASDAQ: KYMR)、Nurix Therapeutics(NASDAQ: NRIX)等)は、独自のプラットフォームを構築し、研究の初期段階からの協業においても安定して高額な契約を獲得している。
このような背景に基づき、ファイメクスは、独自のプラットフォーム技術であるRaPPIDS™を中核に、国内外から新たな共同研究パートナーを継続的に獲得することを計画しており、収益機会のさらなる拡大が期待される。
③ がん領域のさらなる強化と拡充
ラクオリア創薬をオリジンとする上市医薬品には、胃酸分泌抑制剤tegoprazan(製品名:K-CAB®等)や犬の骨関節炎治療薬grapiprant(製品名:GALLIPRANT®)等があり、その他の多くの導出済みプログラムについてもライセンス先の製薬会社等において研究開発が進められているが、その多くは疼痛・消化器疾患領域に属するもの。
ラクオリア創薬は、現在、取り組んでいる創薬バリューチェーンの強化の一環として、がんを標的疾患とする探索研究に着手しており、また子会社であるテムリック株式会社(東京都新宿区)がレチノイン酸受容体作動薬を用いたがん治療薬の研究開発及びライセンシングに係る事業を展開している。本件により、IRAK-Mをはじめとするパイプラインが加わることで、がんを対象としたグループのパイプラインが強化されることとなる。
【今後の予定】
株式譲渡実行日 2024年3月26日