日米独中の消費者アンケート集計結果では、EVの9つのイメージのうち、懸念する点は「航続距離」・「充電時間」・「バッテリー寿命」
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2023年11月に、日本、米国、ドイツ、中国におけるEV(電気自動車)の消費者ニーズについてアンケート調査を実施し、各国のユーザー動向を把握し、その傾向を比較分析した。
ここでは、EVのイメージ、消費者が求めるEVの航続距離・充電時間について、調査結果を公表する。
EV(電気自動車)のイメージ
EVの航続距離・充電時間
1.調査結果概要
本調査では、日本、米国、ドイツ、中国に居住する、自動車運転免許を保有、かつ世帯で自動車を保有する20歳代~60歳代以上の男女2,000名(1カ国あたり500名)にアンケート調査を実施した。
まず、EVのイメージについて、航続距離や充電時間、メンテナンス、デザイン等9つの設問を設けて、「よく当てはまる」「やや当てはまる」「どちらとも言えない」「やや当てはまらない」「まったく当てはまらない」の5段階で回答を得た。表内では、「よく当てはまる」「やや当てはまる」と回答された合計比率が80%以上は◎、50%以上が〇、50%未満は△とした。
日本、米国、ドイツ、中国4ヵ国合計(全体)で◎となった設問は、以下の3項目であった。
1つめは「何キロ走れるかが気になる」であった。4ヵ国合計(全体)では「よく当てはまる」が55.3%、「やや当てはまる」は29.8%であり、国別に回答率を比較すると日本(77.4%)以外の3ヵ国(米国86.4%、ドイツ81.0%、中国95.4%)は80%以上の回答率であった。
2つめは「充電時間が気になる」である。4ヵ国ともに「よく当てはまる」「やや当てはまる」と回答した合計は80%以上であり、特に中国では「よく当てはまる」68.4%、「やや当てはまる」28.8%になり、合計の回答率は90%を超えた。
3つめは「バッテリーの劣化が気になる」であった。4ヵ国合計(全体)では「よく当てはまる」46.2%、「やや当てはまる」33.9%であり、合計の回答率は80.1%である。国別に回答率を比較すると、中国は「よく当てはまる」「やや当てはまる」の合計が90%を超えており、航続距離や充電時間と同様にEVのバッテリーの劣化についても関心が高いことがわかった。
中国においては、上記の設問以外に「電気代がガソリン代と比較して安そう」「環境に良さそう」「デザインが良さそう」についても「よく当てはまる」「やや当てはまる」と回答された合計比率は80%を超えており、日本、米国、ドイツと比較してEVに対する良いイメージが具体的に形成されているという調査の結果となった。
2.注目トピック
消費者が求めるEVの航続距離・充電時間
消費者が求めるEVへのニーズとして、具体的な航続距離・充電時間をアンケート調査で尋ねた。航続距離は一回の充電で運転できる距離とし、充電時間は外出先での充電を想定して、回答してもらった。
航続距離は、4ヵ国合計(全体)では「301km~500km」が最も多く29.3%であり、消費者は一般的なガソリン車と同じ距離を希望していると推定できる。次いで「201km~300km」は23.2%、「501km以上」が22.9%であり、一方で航続距離「200km以下」の回答は少なく24.8%である。
国別に回答率を比較すると、中国では65.4%が「301km以上」の航続距離を求めており、そのうち45.6%が「301km~500km」である。米国、ドイツについても「301km~500km」が最多であり、それぞれ34.0%、34.4%であった。一方、日本は他の3ヵ国と比較して「200km以下」の回答数が多く、「150km以下」は21.2%、「151km~200km」が22.4%であった。この結果から、日本ではEVを街乗りやセカンドカーとして想定していると考えられる。
また、外出先での一回の充電時間について、4ヵ国合計(全体)でみると「16~30分」が最多で32.2%、次いで「31~60分」24.5%、「11~15分」19.0%であった。一方、「5分以内」「6~10分以内」の回答は少なく、合計で16.7%であった。
国別に回答率を比較すると、日本のみが「10分以内」の回答率が30%を超えており、「5分以内」は16.6%、「6~10分」が14.0%であった。日本では他国と比べると、外出先でもやや急いで充電したいというニーズが高い結果となった。
調査要綱
1.調査期間: 2023年9月~12月 2.調査対象: 日本、米国、ドイツ、中国に居住する、自動車運転免許を保有、かつ世帯で自動車を保有する20歳代~60歳代以上の男女2,000名 3.調査方法: インターネットによるアンケート調査 |
<日米欧中におけるEV(電気自動車)の消費者ニーズ調査とは> 本調査では世界で急速に市場規模が拡大しているEV(電気自動車)について、日本、米国、ドイツ、中国に居住する、自動車運転免許を保有、かつ世帯で自動車を保有する20歳代~60歳代以上の男女2,000名(1カ国あたり500名)にアンケート調査を実施し、各国のユーザー動向を把握し、その傾向を比較分析した。 なお、本アンケートのEVはバッテリー(電池)からの電気でモータが駆動して走行する車両とし、エンジンで発電した電気でモータ駆動するPHEV(プライグインハイブリッド車)は含まない。アンケートを開始する前にイラスト(車両の駆動方式別の違い)を提示することで、回答者がEVとHV(ハイブリッド車)、PHEV(プライグインハイブリッド車)を混同することを低減している。 |
<市場に含まれる商品・サービス> EV(電気自動車)の消費者ニーズ |
出典資料について
資料名 | 2023 日米独中におけるEV(電気自動車)消費者ニーズ調査 |
発刊日 | 2023年12月27日 |
体裁 | A4 147ページ |
価格(税込) | 220,000円 (本体価格 200,000円) |
お問い合わせ先
部署 | マーケティング本部 広報チーム |
住所 | 〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2 |
電話番号 | 03-5371-6912 |
メールアドレス | press@yano.co.jp |
©2024 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。