牧之原市が主催するビジネスコンテスト「まきチャレ2023（第2回牧之原市チャレンジビジネスコンテスト）」の表彰式が10月に開催されました。
まきチャレ2023（以下、まきチャレ2023）は、牧之原市の「産業資源」と「観光資源」を活用して、自らの事業を地域と共に発展させるビジネスプランを全世界のスタートアップ企業から募集し、評価するビジネスコンテストです。第2回開催である今回は、EXPACT代表の髙地が審査員として参加しました。
本記事では、まきチャレ2023で市長特別賞を受賞された、株式会社spread withの岩田うのさんに提供されているサービス、ぐるわんの概要や牧之原市での今後の展望についてお聞きしました。
－本日はよろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
－まず最初に、株式会社spread withさんが展開されているサービスについて教えてください。
私たちは主にインフルエンサーマッチング事業を運営しているのですが、2022年3月から「ぐるわん」というペット同伴可能な飲食店や宿泊施設の情報を知ることができるアプリを展開しています。
大手のグルメサイトでは、簡単にペット入店可の表示があるものの実際に店舗に行ってみると、ペットNGだったというような最新情報が正しく表示されていないことがあります。多くの飲食店において、わんちゃんを連れて入店できるのは店内なのかテラス席なのか、ドッグメニューやアメニティーの有無など、現在は事前に知ることが難しい状況です。そこで、ぐるわんは飼い主さんが入店する前に詳細なペット情報を可視化できるサービスを提供しています。
当社は、インフルエンサーマッチング事業を展開している強みとして、ペットインフルエンサーとの連携があります。現在、284名のペットインフルエンサーと連携していて、ぐるわん提携店舗はペットインフルエンサーさんに実際に来店してもらって、ぐるわんアプリで口コミ投稿やSNSに投稿してもらうことができるので、店舗側のPRとしても活用していただけています。
現在、約3000店舗が登録済みで、1万人ほどのユーザーさんに使っていただいています。
－ぐるわんはインフルエンサーマーケティング事業との親和性が高いサービスになっているのですね！ペットテック業界で展開を決めたきっかけはなんでしたか？
ぐるわん展開の背景は、メイン事業のインフルエンサーマーケティングでペットインフルエンサーの影響力の高さに可能性を感じたところが大きいですね。
元々spread with設立は、弊社代表の梅本が前職でインフルエンサーマーケティングに従事していた際に感じていた課題がきっかけでした。 高額な仲介手数料や、大手代理店・芸能事務所を通すと広告の掲載範囲に障壁が出てきてしまうなど、高予算があるクライアントしかインフルエンサーマーケティングを実施できない状況があったんですね。そんな課題を打破したいと考え、商品をPRしたい企業さんと本当に良いものを広めたいと思うインフルエンサーさんを直接つなぐマッチングプラットフォームで起業いたしました。
そこからインフルエンサーマッチングプラットフォームに登録いただいているインフルエンサーさんの中に、ペット専門の方も多数いらっしゃいました。ペットインフルエンサーさんの投稿に対するフォロワーからのいいねなどの反応率や保存数のエンゲージメントが高い傾向にあることに気づき、登録頂いているペットインフルエンサーさんからのサービス展開のご要望もあり、可能性とサービス需要の高さを感じ、市場調査をした上でペット業界の参入を決めました。
またもう一つの理由としましては、 代表の梅本や私も含め犬を飼っていた経験もあり、実体験としてわんちゃんとのお出かけの際の課題を感じていたためペット関連サービスの展開に踏み切った形ですね。
－代表の前職で感じた課題が起業につながり、そしてぐるわん誕生では本事業での発見が大きく影響していたんですね。
実際にぐるわんに対するユーザーからの声はどのようなものがありましたか？
お出かけの際にぐるわんをよく使うようになりましたという嬉しいお声をたくさんいただいていますね。
やはりわんちゃんと行く場所探しに苦労されている飼育者の方が多いので、自分の位置情報から簡単に近くの同伴可能なお店を探すことができる部分やペットに特化した情報発信を気に入っていただけているのだと思います。
近頃はインスタグラムなどでも、店内の様子が映っている店舗が多いため、そこで探す方もいらっしゃいます。ただ、一緒にお出かけする際にわんちゃん用ベビーカー（バギー）を使用されている方がいらっしゃる中、バギーでの入店確認まですることができず実際に訪問してから断られてしまうケースも生じているので、こういった細かい部分まで網羅できるアプリを開発しています。
－バギー入店可能かどうかなど、実際に飼っていらっしゃる方ではないと気付けない部分がしっかりと表示されているんですね。
ぐるわんに登録されている店舗側からの反響はいかがですか？
提携させていただいている店舗さんからも、わんちゃん連れのお客様が増えたと喜んでいただいています。
わんちゃん連れのお客様だと、一般の方と比べて長時間滞在されて客単価が高い傾向にあるんですね。そういった面からもわんちゃん連れを誘致したいけれど、手段が分からないといった方々にぐるわんを理想的な宣伝ツールとして使っていただいています。
ぐるわんはペット共生タウン化を目指して展開しているため、このような提携店舗さんからのポジティブなお声を頂けるのは嬉しいですね。
牧之原市をペットフレンドリーな街に
－ぐるわんがペット共生タウン化を軸に展開されているというお話でしたが、このようなペットを通じての地域活性化に関連したサービスの市場や需要はどう変化していくとお考えでしょうか？
私たちが参入しているのが、ペットとお出かけのペットツーリズム市場という業界になりまして、こちらの規模が大きく、ペット市場全体の1/4も占めている状況です。
またコロナ終息後、わんちゃんとお出かけする方が増えているので、市場は今ますます伸びているところです。
実際のアンケート結果でも、2017年には愛犬と一緒に旅行すると回答した方が全体の4割程度だったところが、現在では7割以上の方が旅行する際は必ず愛犬と一緒に行くと回答しているんですね。こういったデータからも、ますます愛犬との同伴旅行は主流になっていくと考えているため、ここの市場を獲得することを目標に動いています。
－ペットツーリズム需要が伸びていく中で、ペットインフルエンサーの活躍も増えていくのかなと感じますが、ぐるわんで投稿されているペットインフルエンサーさんの特徴は何かあるのでしょうか？
もともと弊社のインフルエンサーマーチングプラットフォームに登録されていた方が多く、ペットインフルエンサーさんをぐるわんの方でも連携させていただいています。
おそらく他のインフルエンサーさんとぐるわんに登録されているペットインフルエンサーさんの違いは、フォロワーの数を重視するのではなく、愛犬と日常的にお出かけを楽しみ、PRした時にどれぐらい反応があるかのエンゲージメントを元にお声がけさせていただいています。
－しっかりと投稿に反響を生むことができる、質の高いペットインフルエンサーの方が宣伝してくれるのは心強いですね！
ここからは、牧チャレについてお伺いしたいと思います。市長特別賞の受賞おめでとうございます！
そもそも、エントリーされたきっかけはなんでしたか？
ありがとうございます！
牧之原市の観光資源が魅力的に感じ、牧之原市からペットフレンドリーな街を一緒に作っていけたらという思いの元、今回応募させていただきました。
農業が盛んなこともあり、牧之原市の新鮮な食材を使用した飲食店がたくさんあったり、マリンカルチャーなどペット連れの方にも楽しんでもらえるような場所が牧之原市にはたくさんあるので、ぐるわんを通して地域を盛り上げていけたらと思っています。
－ペットと牧之原市の観光資源を掛け合わせて盛り上げようという思いで参加されたんですね！今後、牧之原市で何か活動の予定はありますか？
今回受賞させていただいたご縁を機に、市内でぐるわんの実証実験を進めていき、牧之原から静岡、そして全国でより多くの方に使っていただけるようサービス改良に力を注いでいこうと考えています。 そのために今後は、12月中に牧之原市内を案内していただいて、視察を重ねる予定です。
－牧之原市からどんどんぐるわんが広がっていくのが楽しみです！今後のぐるわんにおけるサービスの展望はありますか？
皆さんのニーズに応えられるよう、色々な機能を随時追加していきたいと考えています。
現在実際に構想中なのは、ドックランとアプリを繋いで、アプリ内で開閉システムを制御するなどぐるわんの独自性を出しながら需要のあるサービスを提供し、わんちゃんと一緒に過ごせる空間を作っていけたらと考えています。
－新機能が追加されるにつれ、様々な場面でぐるわんが活躍する場が広がりそうですね！2023年の4月にはコメダ珈琲店 安城店との提携を発表されましたが、こちらはどういったきっかけで始まったのでしょうか？
まず名古屋が代表 梅本の出生地ということもあり愛知県内の店舗さんと親和性がありました。そこからわんちゃんと同じ空間でお食事ができるだけでなく、わんちゃん自身も楽しめる空間を作っていきたいという共通認識が安城店さんとあったため、ドッグランを併設してペットとの共存を叶えられる取り組みをしていこうという形で提携を結ばせていただきました。
－ドッグランが併設されているチェーン店は珍しいですよね。海外に比べるとペット連れが行きやすいお店は現状あまり増えていないのでしょうか？
やはりまだ日本だと法律上はペット＝モノとして扱われてしまっているので、わんちゃんと飼育者さんが過ごしやすい世界ではない現状はありますね。
海外ではドッグフレンドリー化が進んでいて、通常のマップにもペット同伴入店が分かりやすい犬のマークが出てきたり、わんちゃんと一緒にお出かけが当たり前になっているんですよね。
日本はそこの受け入れ態勢が追いついていない店舗さんが多いので、ぐるわんが一緒になって開拓しつつ、わんちゃんといけるお店も増やせていけたらいいなと思っています。
－ドッグフレンドリーなお店が海外のように増えると、飼い主さんたちも色々な選択肢が増えてお出かけが楽しくなりそうです。では最後にぐるわんの目指す先について教えてください。
ぐるわんはあったらいいアプリではなくて、ペット飼育者にとってはなくてはいけないサービスにしていきたいと考えています。
そして、ぐるわんの発展と共に、わんちゃんとのお出かけの当たり前化を実現していきたいですね。今回牧チャレでいただいたチャンスを大切に、静岡から全国、そしてゆくゆくは海外まで販路を拡大していきたいと考えているので、ユーザーさんの声を聞きながらサービス改良や資金調達を実施して、2028年IPOを目指していきたいと思います！
－ぐるわんがペット飼育者の必需品となって、わんちゃんも楽しくお出かけできる未来が楽しみです！本日はありがとうございました！
[会社概要]
【会社名】株式会社spread with
【URL】https://guruwan.pet/lp
【公式インスタグラム】https://www.instagram.com/guruwan.pet/
【設立年月】 2020年6月4日
【代表者】代表取締役 梅本 直輝
【所在地】〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町3丁目37-24-202
取材：EXPACT 髙地・坂井・原
執筆：EXPACT 原
