モバイルおよびデジタル市場データを統合データAIプラットフォームで提供するdata.aiは、同社主催のカンファレンスイベント「Mobile Leaders Summit」を9月8日に開催した。今回のイベントでは、data.aiのアップデートや今後の展開について紹介するとともに、各業界におけるモバイル分野のトップ企業からリーダーを招き、2つのパネルセッションを通じて、モバイル技術の最新動向や応用例、未来予想などについてディスカッションを行った。
「data.aiは、『人工知能を駆使した統合データ』を軸に事業展開するため、昨年2月に『App Annie』から社名を変更した。また、data.aiの日本法人は、来年で設立10周年を迎える。現在、グローバルでの顧客数は1400社を超えており、トップパブリッシャー100社のうち77社がdata.aiを利用している。国内においても、幅広い業界の数100社の企業に活用されている」と、data.ai 日本事業責任者の鳥井武志氏が挨拶。「data.aiが発表した『モバイル市場年鑑2023』レポートによると、ユーザー当たり1日のスマホの利用時間は5時間以上となり、睡眠を除く約1/3の時間をモバイルに消費していることがわかった。企業の顧客接点として、もはやスマホは切っても切り離せないデバイスになっている」と、モバイル市場データの重要性がさらに高まっていると分析する。
「一方で、データドリブンによるモバイル戦略を実践できている企業はまだ少ないのが現状だ。国内でも、モバイルアプリを提供する企業は増えつつあるが、アプリを開発することが目的となっており、データを活用するところにまで至っていない。そこで当社では、モバイルアプリに携わるすべての企業がデータに基づいた戦略立案ができるよう、モバイルデータ分析ツール『data.ai Intelligence』の機能拡充や、顧客への営業・サポート体制の強化に取り組んでいく」と、今後の事業方針を示した。
具体的な強化ポイントとしては、「データを使われやすくする」、「使える機能を増やす」、「わかりやすく利用できるようにする」の3つを挙げた。「まず、『データを使われやすくする』については、1次利用から2次利用へのシフトを進めていく。現在は、顧客が『data.ai Intelligence』の管理画面にログインし、モバイル市場データの分析を行い、ビジネス戦略などに活用している。今後は、顧客が持っている分析ツールやBtoBプラットフォームなどのサービスに、data.aiのモバイル市場データを提供することも計画している。これによって、『data.ai Intelligence』を使わずに、自社のツールからdata.aiのモバイル市場データが活用できるようになる」と、data.aiのモバイル市場データをさらに活用しやすい環境を整えていくという。
「『使える機能を増やす」では、『data.ai Intelligence』の機能拡充として、今年のQ3に『Device Insight』と『Unified Data Push』、Q4までに『PC/Console』と『Ad Revenue』をローンチする」と、「data.ai Intelligence」に関する今後のロードマップを発表。「『Device Insight』は、モバイルデバイスの詳細なデータを提供する機能で、アプリ開発やデバイス開発において参考にすることができる。『Unified Data Push』は、顧客が必要とするデータを定期的に自動送信する機能となる。今までは、顧客自身でデータをエクスポートしたりAPIを開発してデータを取得していたが、その必要がなくなる。『PC/Console』では、顧客からニーズが高かったPCコンソールに対応する。『Ad Revenue』は、モバイル広告の収益データを提供する機能。今年Q2に提供開始したが、顧客からの要望を受けてさらにチューンアップしてリリースする」と、機能拡充の概要について説明した。
「『わかりやすく利用できるようにする』では、『data.ai Intelligence』のラーニングサービスとして『data.ai LEARN』を提供開始する。『data.ai LEARN』では、初心者でも基本機能をわかりやすく学ぶことができ、最終的には認証が取得できるようにする。将来的には、社内での人材評価や転職時にも役立つような認証制度にしてきたい」と、モバイル市場データ活用の認証制度を立ち上げるのだと意欲を見せていた。
続いて、1つ目のパネルセッション「コロナ後の世界における消費者のモバイル行動とトレンドの変化に対するデジタル技術の影響」が行われた。このセッションでは、data.ai 日本事業責任者の鳥井武志氏がモデレーターを務め、FOOD AND LIFE COMPANIES マーケティング&リサーチ部 部長のTakako Wada氏、本田技研工業 電動事業開発本部 BEV開発センター ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部 データドリブンソリューション開発部 顧客理解基盤開発課 課長 チーフエンジニアの小川努氏、サイバーエージェント AI事業本部 協業リテールメディアDiv. アプリ運用カンパニー 事業責任者の東樹輝氏、menu 執行役員 コミュニケーション本部長の山敷真氏の4名がパネリストとして登壇。「顧客接点はアプリで大丈夫なのか」、「デジタルネイティブ世代と、非デジタルネイティブ世代との付き合い方」、「消費者理解の最適解とは」の3つのトピックについてディスカッションを行った。
2つ目のパネルセッションは、「成長の加速:ユーザー獲得、エンゲージメント、リテンションのためのパフォーマンス&広告戦略」をテーマに、ディップ マーケティング統括部メディアマーケティング部 アドマネジメント課 リーダーの今川達貴氏、ユナイテッドアローズ マーケティング本部 デジタルマーケティング部 エグゼクティブマネージャーの佐々木慎朗氏、GO GOアプリ事業本部 マーケティング部 アクイジショングループ/マネージャーの住澤崇氏の3名がパネリストとして登壇。data.ai 日本既存事業責任者の矢野恵介氏がモデレーターを務め、「よくある『アプリ vs ウェブ』の棲み分けはどうしてる?」、「検索連動、ADNW、マスなど、広告出稿の方法があるが、ベストバランスとは?」、「質の高い新規ユーザーはどこにいる?」の3つのトピックについて、それぞれの業界の立場から意見を交わした。
data.ai=https://www.data.ai/jp/