「請求書」を紙で発行するのが必要なときはある。クライアントが書面での送付を求めているときだ。一方、電子化してメールで送付してほしいと頼まれたとき、その要望に対応できなければ、相手にマイナスイメージを与えてしまう。
請求書を電子化できないデメリットはほかにもあり、自社の事業を円滑に進めていくためには、電子化への対応はもはや必須と言える。この記事では、請求書を電子化できないことのデメリットを1つずつ解説し、請求書の電子化のおすすめの方法についても説明していく。
目次
請求書電子化の理由は、メリットだらけ
インターネットの普及、そして企業における業務効率化の流れも受け、請求書の電子化はもはや法人にとって不可欠なことと言える。
多くの企業が請求書や受領書などの各種書類の電子化を進めているのは、経費や手間の削減につながることが主なメリットだからだ。メールで送付すれば郵送費が掛からないし、当然、請求書を印刷したり発送したりする手間も省ける。
オフィスにおいて書類の保管用スペースを減らすことができることも大きなメリットだ。法人の場合、請求書の保存期間は7年間とされており、電子データでの保管も認められている。請求書を多く発行する企業の場合、紙で全ての請求書を保管するとかなり物理的にスペースが必要だ。
しかし、電子データであればこのような請求書の保管に関する悩みを抱えなくて済む。かなりのメリットといえるだろう。
請求書を電子化しないデメリット
請求書を電子化するメリットについて触れたが、デメリットについてもこの記事では強調しておきたい。
コスト競争力の面でマイナス
請求書の電子化で経費を削減できるということは、「コスト競争力」で同業他社にリードを許しやすくなるということだ。
コスト競争力とは一般的に、商品やサービスを販売するためにかかるコストを減らし、他社に負けない安い価格を実現可能にする競争力のことを指す。
請求書に関する経費は商品の原料費などに比べれば微々たるものだが、「塵も積もれば山となる」ということわざがあるように、長い目で見ると金額が膨らむ。
業務効率の面でマイナス
請求書を印刷して発送する業務は「単純作業」だ。その業務を請求書の電子化によって無くし、空いた時間を付加価値の高い別の業務に充てれば、本当に必要な業務の遂行効率が上がる。
人材確保の面でマイナス
近年は現役社員や元社員による口コミを集めたサイトが登場し、企業の内実を垣間見ることができる。そのようなサイトで「いまだに請求書の電子化に取り組んでいない」などと書かれれば、就職先を探している若い世代はその企業を選択肢からはずすかもしれない。
つまり、請求書の電子化に取り組まないことは、人材採用、優秀な人材の確保においてもマイナスの影響があるということだ。
在宅ワークの浸透の面でマイナス
コロナ禍もあり、徐々に在宅ワーク(リモートワーク)を導入する企業が増えている。在宅ワークは出社や退勤の手間がなく、従業員のロイヤルティ(忠誠度)を高めることにも一役買う。
在宅ワークを企業として定着させるためには、さまざまな書類の電子化を進めなければならない。「請求書を印刷し、上司に確認をとって社印を押印して……」という作業が伴うと、自宅だけで仕事を完結することが難しく、在宅ワークの定着を阻害する。
請求書の電子化、簡単にする方法
ではどのように請求書の電子化を進めればいいのだろうか。
WordやExcelで作成した請求書をPDF化するのが最も手っ取り早いが、その場合、請求書のデザインが担当者によってバラバラになりやすい注意点もあり、企業全体で1種類のクラウドサービスを利用するのが得策だ。
クラウド型サービスの導入が手っ取り早い
すでにデジタル請求書を発行できるさまざまなクラウドサービスが登場している。デジタル請求書に特化したサービスだけではなく、経費管理や決算書類の作成などもできるサービスもあり、業務の効率化に向けてこのようなサービスの導入を検討したいところだ。
一般的にこれらのクラウドサービスは、初期費用に加え、月額で定額料金が発生していく。利用するユーザー数や請求先の登録数などによって料金が変わるケースが多い。
既存の管理システムからの移行の手間を確認
すでに会社で独自の経費管理システムを使用している場合、新たに利用を検討しているクラウドサービスへの移行の手間を、導入前に確認するようにしよう。利用を検討しているクラウドサービスのサポート窓口に相談してみるのがいい。
取引先に対する連絡・確認も必須
請求書を電子化できる環境が整ったあとは、取引先に請求書の送付形式について確認するようにしよう。取引先によっては、従来通り、紙の請求書の送付を希望する場合もある。相談なしにいきなり請求書を電子化して送ると、先方の心証を悪くする可能性がある。
自社が時代に取り残されないように
請求書の電子化に対応しておくことは、企業としてはもはや必須のことと言える。脱FAXや脱ハンコの流れも今後どんどん進んでいくとみられる中、経営者として自社が時代に取り残されないよう注意しよう。
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文・岡本一道