離婚,慰謝料
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小林 芽未
小林 芽未(こばやし・めみ)
2011年早稲田大学第二文部卒業。2014年日本大学大学院法務研究科卒業。2015年司法試験合格。司法修習終了後,都内の企業法務を扱う法律事務所で勤務弁護士として執務した後,東京神田にてS&M法律事務所を開所。大学時代に学んだ心理学を生かし,依頼者に寄り添いながら男女問題・離婚問題に注力した業務をおこなう。司法試験を目指す前は,不動産業等事業会社にて勤務していた。弁護士、宅地建物取引士、APCカウンセラー認定講座修了。

離婚の慰謝料は必ず発生するわけではない

夫から離婚を切り出されたときに「慰謝料をどれだけもらえるのか」と考える妻は少なくない。ワイドショーなどでも、大物芸能人・有名人の離婚となれば多額の慰謝料が夫から妻へ支払われたといったニュースを目にする。しかし、離婚の際に必ずしも慰謝料が発生するわけではない。

離婚に伴って発生する金銭のやり取りは、主に婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を精算しようという財産分与である。

慰謝料の請求ができるのは、相手が法律で守られた権利を侵害するような違法な行為をしている場合である。

例えば、夫や妻以外の異性と性的関係をもったという不貞行為を行っていた場合や、常日頃から殴る蹴るなどの身体的暴力を振るっていた場合、正当な理由もなく家族を放置して自宅を出て別居を続ける場合だ。

離婚の原因が、なんとなく性格が合わない、一緒にいても楽しくない、料理が下手、稼ぎが悪い、といったような責任がどちらにあるとも言えず、法律的に違法とも言えない事情である場合には、慰謝料は一切発生しないのである。

慰謝料の決め方は現実的な金額、支払い方法にすること

当事者同士で慰謝料の金額や支払方法を決定する場合は特に決まりはない。現金ではなく、所有する不動産や自動車、貴金属を引き渡すという方法でも構わない。

ただ、「離婚」という最悪の状況に陥った夫婦が、「精神的苦痛」という客観的金額が算定しにくい損害を賠償するための金額を決めるにはなかなかの困難を伴う。浮気をされても全く気に留めない人もいれば、自殺を考えてしまうくらい気を病んでしまう人もいる。精神的苦痛というものは、人それぞれ受ける程度が異なるため、慰謝料の金額は一概に決められない。

また、離婚の原因を作った相手に対して「精神的苦痛を被ったから慰謝料を支払え!」と主張する側からしてみれば、高額な慰謝料を求めたくなる。高額な請求をしたところで、相手に支払うだけの経済力がなければ回収することはできないため、精神的苦痛の程度や相手の資力に応じて現実的な金額・支払方法を決めた方がよいだろう。

なお、夫婦間の問題に対する慰謝料の金額を決めるにあたって、相手の実家の資力が問題とならないことは言うまでもない。

慰謝料を決めるときの3つの考慮事項