世界的にM&Aの表明保証保険は一般的になりつつあります。
日本M&Aセンターは東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)と2021年10月に業務提携を結び、M&A後に損害が生じた際、補償を受けられる表明保証保険の提供を開始いたしました。
保険料は譲渡企業も譲受け企業も費用の負担はなく、一定の条件を満たせば審査なしで加入いただけます。
表明保証とは、譲渡企業が譲受け企業に対し、「企業に関する財務や法務に関する一定の事項が真実かつ正確であることを表明し、その内容を保証する」ものです。譲受け企業は十分な調査(デューデリジェンス)をもとに株式譲渡や取引条件を検討しますが、M&A後に思わぬ表明保証違反が生じた際に、その損害を補償するのが表明保証保険となります。
譲受け企業にとってはM&A後問題が生じたとしてもスムーズに経営できる点がメリットで、譲渡企業にとっては賠償責任を気にすることなく肩の荷を下ろし引退できる点がメリットです。
海外ではスタンダード
表明保証保険はM&Aが盛んな欧米諸国から誕生し、既に一般的なものになっています。アメリカにおいては、2016年は加入率30%程だったものが、2021年には65%に増加しました。
日本M&Aセンターの表明保証保険 POINT
保険料は日本M&Aセンターが支払いいたしますので、譲渡企業、譲受け企業の費用負担はなく、保険金の請求可能期間は、M&A実行日から1年間(税務のみ2年間)です。
保険金請求時には、東京海上日動から譲受け企業に対して保険金が支払われます。譲渡企業に故意・詐欺等行為がなければ、東京海上日動が当該損害を負担し、譲渡企業に対して損害金の請求はありません。
なお、本表明保証保険に加入できる「一定の条件」は次の通りです。
・日本M&AセンターがM&A仲介業務を受託していること(フィナンシャルアドバイザー業務での委託は対象外となります)
・外部の専門家がデューデリジェンスを実施していること
・譲受け企業(が日本M&Aセンターのセミナーを視聴しアンケートに回答すること
を満たす国内案件が対象となります。
セミナー「買収の参観日」はオンラインで参加可能です。
補償範囲は要確認 複数保険を組み合わせることで万が一に備える
日本M&Aセンターが提供する表明保証保険は、M&Aの最終契約に記載される表明保証のうち、「株式」「財務」「税務」「労務」の4項目が補償範囲です。
実際に適応された例として、デューデリジェンスでは発見できなかった簿外借入金や、販売在庫が過大に計上されていたケースで補償されたことがあります。
ただし、これら4項目に関係するすべての事象が補償対象となるわけではないことを予めご了承ください。
対象外となるものとして、例えば退職金について、未払い退職金といった金銭債務、給付債務は補償が適応されますが、退職金積立といった、現実にはまだ発生していない将来に備えた債務は補償の対象にはなりません。
本表明保証保険では対象にならなくても、他の保険でリスク移転を図ることは可能です。
例えば回収できない売掛金といった第三者の信用リスク(取引信用保険)や、主要設備のメンテナンスが不十分で予定外の修理費が生じたといった機械設備のリスク(機械保険)など、各リスクに特化した保険があります。
M&Aを検討する際は、表明保証保険の範囲を明確にし、その他の保険も組み合わせて検討いただくと安心したM&Aの実行につながると考えられます。
最高のM&Aをより身近に
「海外の表明保証保険事故傾向」のうち上位1位の財務、2位の税務、5位の労務は日本M&Aセンターの表明保証保険で適応しています。3位の法令遵守、4位の重要な契約については、別の表明保証保険に併せて加入することでカバーできます。
譲受け企業にとって保険を活用することはM&Aのリスクを少なくし、投資の回収やシナジー効果による成長につながるでしょう。
譲渡企業にとっては、思わぬ損失請求におびえずクリーンイグジットを達成できます。
日本M&Aセンターでは『最高のM&Aをより身近に』というパーパスのもと、M&Aの成功に向け企業と伴走しています。
多くの経営者の皆様に安心してM&Aを実行いただけるよう、これからも邁進してまいります。
本コラムは、日本M&Aセンターが提供する表明保証保険サービスの他、一般的な保険商品についてご紹介したものであり、保険募集を目的としたものではありません。
著者
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