ロータリークラブは200以上の国と地域に広がり、クラブ数3万5千余、会員総数140万人を超える団体だ。実業家や専門職の人々の集まりであり、地域や世界の課題解決に取り組んでいる。日本においても各地域に2,214のロータリークラブが存在し、8.2万人超の会員が日々奉仕活動を行っている(2022年6月時点)。地方創生を担う重要な存在でもあるロータリークラブはどのような奉仕活動に取り組んでいるのか。今回は仙台ロータリークラブの加藤雄彦会長にお話を伺った。
加藤雄彦氏
(学)仙台育英学園 理事長・校長
― 仙台ロータリークラブの特徴を教えてください。
原点である「入りて学び、出でて奉仕せよ」という言葉がいちばんわかりやすいのではないかと思います。さまざまな奉仕活動の原点になっているのは何かということをしっかりと学んだ上で、世界中にあるロータリークラブとネットワークを持ちながら奉仕活動をしています。ロータリー運動の原点や仕組みをしっかり学ばないと、毎週集まってご飯食べたり、時にはお酒を飲んだり、募金したお金で駅前に記念の時計を建てるなどで終わってしまいます。
もう一つ、ロータリークラブは「We serve(私たちは奉仕します)」ではなく「I serve(私は奉仕します)」の精神です。全体の合意を取らなくてはならないわけではなく、2人以上の人がやりたいと手を挙げたのであればクラブは決してその意思を妨げることはしません。会員一人ひとりの意思を尊重します。
国際ロータリーでは「D・E・I」を推進しようと力を入れていますが、多様性(Diversity)・公平性(Equity)・包含性(Inclusion)のことを指します。仙台ロータリーでは、 幅広い年代や性別、職業の方々に会員になってもらうことでクラブの多様性を保つよう意識しています。公平性においては、会員としてお互いが認め合い、尊敬できる存在であるべきです。
卓話等の研修によって、会員がどういう職業理念を持って会社や組織において職業奉仕しているか理解できるようにしています。「D・E・I」を例えるならば、海の中にはさまざまな魚介類が生息している状態がダイバーシティーです。魚介類がお互いに共生して自分の生存を模索している状態がイコーリティです。しかし、魚介類だけが海に存在しても持続可能な状態を維持することができません。森林から得られるミネラルによって豊かな海が形成された環境下で、お互い生存競争を繰り広げながら能動的に生息していますよね。それがインクルージョンの状態です。
仙台ロータリークラブでは、クラブ運営方針に基づいて各委員会が何をするのかということについて情報共有します。仙台ロータリークラブの特徴は、これらの委員会がそれぞれとても有機的に動いていることです。会員数は130人近くいますが、それぞれが活発に活動を行っていることによって、輪となります。それが仙台ロータリークラブとしての1つの大きな奉仕活動だとご覧いただくのが良いかと思います。
― 具体的にはどのような活動に取り組まれていますか?