矢野経済研究所
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2021年のフェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場規模は、前年比107.7%の642億9,700万円

~成長が続く市場、2022年も伸びの勢いは続く見込み~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、フェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場を調査し、国内の参入企業の現況や動向、市場の課題と展望を明らかにした。

フェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場規模推移

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1.市場概況

2021年のフェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場規模は前年比107.7%の642億9,700万円と推計した。2020年の市場規模が前年比103.9%の伸びだったことに比べると、2021年になってさらに勢いを増していることがわかる。また2022年もその勢いは続くとみられる。

同市場は、SDGsの認知度が急激に高まりジェンダー平等や女性のエンパワーメント、社会進出といったキーワードにも注目が集まったことにより、女性の暮らしにくさ、働きにくさに改めて焦点が当たるようになったことで認知度が拡がっている。

2019年頃から様々なアイテム・サービスがフェムテックの枠で語られ、新たなアイテム・サービスだけでなく、既存のアイテム・サービスも改めてカテゴリーを与えられたことで注目されるようになっている。吸水ショーツなどスタートアップの参入が相次いだことも市場拡大の後押しとなった。また国内では労働力不足が顕在化していたため、職場における女性の活躍推進や支援の動きが高まっており、フェムケア&フェムテックサービスへの企業からの関心も高い。

2.注目トピック

法人向けフェムケア&フェムテックの動向

フェムテック拡大の背景には、「女性活躍推進法」※1を始めとする法改正やそれに対応する企業の動向が影響しているという面もある。労働力不足を解決するためには、昔のように女性管理職比率を高めるという画一的なアプローチだけでなく、企業ごとに様々な側面から女性が働きやすい環境を整えることが重要と認識されつつある。

企業では育児・介護離職、復職の難しさ、管理職比率の低さなどが課題に挙がるが、女性の働きやすさを考えるにおいて、そもそも様々なライフイベントを迎えた女性の健康課題や悩みについての理解、配慮が不足しているという点も大きいとみられる。そうした課題解決を含め、以前より幅広い企業において女性の働きやすさについて考える機運が高まっているといえる。

2021年後半から2022年にかけては法人向けのフェムケア&フェムテックアイテム・サービスへの拡充が相次いだ。オンライン健康相談サービス、妊活サポート、低用量ピル服薬支援プログラム等が福利厚生サービスとして法人に導入される可能性も増加しているものとみられる。また、卵子凍結やホルモン検査のサービスを提供している企業もある。しかし、今のところアイテムが福利厚生サービスとして提供されているケースは吸水ショーツ以外に目立ったものがないとみられる。

※1 厚生労働省「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2019年改正、2022年全面施行)

3.将来展望

2021年前半まではフェムテックが注目された一方で、マーケットに投入されていたアイテム・サービスがある程度限られていたため、「吸水ショーツ」や「月経カップ」、「オンラインピル」といったアイテム・サービス名の検索ワードから、ブランドにユーザーを呼び込むことは比較的容易で、店舗での競争も少なかった。しかし新規参入が増加し、消費者にとっての選択肢は増えたが、参入企業にとっては競合との差別化が課題となってきた。新しい素材やカラーなどデザイン面のブラッシュアップ、法人向け、ギフト、メディアで取り上げられやすい取り組みなどマーケティング面での工夫を凝らすブランドも増加しているが、今後も競争力を維持するためには、それ以上に訴求力のあるアイデアが求められる。

また市場全体を拡大させるためには、啓発活動も重要なポイントになる。女性が気兼ねなく悩みを話せるようになり、アイテム・サービスを利用できるようになるためには、女性自身の知識向上やセルフケアをするという意識向上に加え、周りの男性の理解、配慮を促進すること、さらに幅を広げれば若年層にも正しい知識を身に付けられるような教育、アイテム・サービス自体の認知度や若年層向けアイテム・サービスの開発も課題と言える。既存のターゲットとなる30代、40代においても、多様化したアイテム・サービスをどう選ぶかという点が消費者の課題となりつつあり、「選び方」の提供も求められる。

調査要綱

1.調査期間: 2022年7月~9月
2.調査対象: 国内のフェムケアアイテム製造企業・販売企業、フェムテック参入企業、フェムテックアイテム流通企業等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査、アンケート調査、ならびに文献調査併用
<フェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場とは>
本調査におけるフェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場とは、1.生理(月経)系、2.不妊・妊よう性ケア/妊娠・産後ケア、3.更年期ケア、4.ウィメンズヘルスケア、5.セクシャルウェルネスの5分野の国内のアイテム・サービスを対象とした。
市場規模は、各アイテムは小売金額ベースで、各アプリおよびサービスはユーザー消費金額ベースで算出した。アプリおよびサービスの市場規模は、個人ユーザーへの課金金額のみで、医療機関や法人向けの利用料、広告収入は含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
生理(月経)系アイテム・サービス】吸水ショーツ・月経カップ/ディスク・ノンポリマー(コットン)紙ナプキン・布ナプキン・経血用洗剤・生理管理アプリ等、 【不妊・妊よう性ケア/妊娠・産後ケアアイテム・サービス】サプリメント(葉酸・ミネラル・ビタミンなど)・妊娠検査薬/排卵検査薬・婦人体温計・シリンジ法キット・骨盤ベルト、妊婦帯、体型戻し商品・マタニティウェア、マタニティインナー・妊娠時のスキンケアアイテム・妊活者/妊産婦向けSNS・アプリ(排卵管理、体外受精サポートなど)・不妊治療情報・クリニック検索サイト・妊活コンシェルジュサービス・子宮内フローラチェックキット、卵巣年齢チェックキット・妊産婦向けアプリ(栄養・健康管理、記録など)・妊活者/妊産婦向けオンライン相談サービス等、 【更年期ケアアイテム・サービス】サプリメント(大豆イソフラボン/エクオール系、ブラックコホシュ、ビタミン系など)・漢方(当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遙散、桃核承気湯等)・尿漏れケアアイテム・更年期世代向けスキンケア/・膣ケアアイテム・更年期世代向け体調管理アプリ・更年期世代向けオンライン相談サービス・郵送型エクオール検査キット等 【ウィメンズヘルスケアアイテム・サービス】 サプリメント/漢方(PMS対策、ホルモン関連など)・デリケートゾーンケアアイテム・婦人科がん(乳がん、子宮頸がん等)術後ケアアイテム(弾性ストッキング、術後用ブラジャー・インナー)・ナイトブラ・冷え対策のインナー・郵送型婦人科がん検査キット・オンラインピル処方・配送サービス(PMS対策、生理痛軽減、ホルモン関連など)・オンライン漢方処方・配送サービス・ホルモン検査キット等 【セクシャルウェルネスアイテム・サービス】セルフプレジャーアイテム・膣トレーニングアイテム・オンライン診療/ピル配送サービス(アフターピル、避妊関連など)・郵送型性病検査キット等

出典資料について

資料名2022 フェムケア&フェムテックマーケット(消費財・サービス)
発刊日2022年09月30日
体裁A4 327ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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