地域内で自転車を共同利用するシェアサイクル(自転車シェアリング、シェア自転車)を街中で見かけることが多くなった。利便性や環境にメリットの多い新たな都市交通システムとして、国土交通省も普及を推進している。シェアサイクルの仕組みや課題、具体的なサービスの例を解説する。

目次

  1. シェアサイクルの仕組みとは?レンタサイクルとの違いも
    1. レンタル・返却方法
    2. 料金体系・決済方法
  2. シェアサイクルのメリットとデメリット
    1. メリット:利用の手軽さ、公共交通機関の代替やSDGs推進にも
    2. デメリット:ポートが少ない地域や長時間利用には向かないことも
  3. どのような用途や理由で利用される?
  4. 東京近郊のシェアサイクルを紹介
    1. ドコモ・バイクシェア
    2. ハローサイクリング(HELLO CYCLYNG)
    3. ピッパ(PiPPA)
    4. コギコギ(COGICOGI)
    5. ループ(LUUP)
  5. シェアサイクルの市場規模
    1. 国内外で拡大が続くという予測
    2. 市場成長の理由
  6. シェアサイクルの課題
  7. シェアサイクルに関するQ&A
    1. Q1.自転車シェアリングの課題は?
    2. Q2.シェア自転車のデメリットは?
    3. Q3.シェアサイクルの利用理由や用途は?
    4. Q4.シェアサイクルの特徴は?
    5. Q5.シェアサイクルの利点や魅力は?
  8. 市場拡大や新たなビジネスモデルに期待
  9. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ
シェアサイクルサービスまとめ 料金やエリアの違いは?
(画像=lzf/stock.adobe.com)

シェアサイクルの仕組みとは?レンタサイクルとの違いも

シェアサイクルの利用方法はサービスごとに異なるが、一般的な貸出方法や料金支払いの仕組みを紹介する。

レンタル・返却方法

利用開始には、スマートフォンアプリなどで事前に会員情報を登録する。レンタル時の認証のため、交通系ICカードなどを登録するパターンもある。

自転車を借りるためのポート(拠点)はエリア内に複数ある。アプリでポートの場所を検索し、好きな場所でレンタルできる。利用後、シェアサイクルではどのポートに返却しても構わない。借りた場所に返さなければならないレンタサイクルとは異なる点だ。

料金体系・決済方法

利用料金は30分程度の基本時間に加え、延長すると追加料金がかかるシステムが多い。サービスによっては、長時間利用向けには数時間単位のパック料金や最初の30分が使い放題になる月額プランを設けていることもある。利用用途に合わせて選ぶことができる。

支払いはクレジットカード決済のほか、スマートフォンのキャリア決済などが選択できるケースもある。事前に決済情報を登録し、前払いするシステムが一般的だ。

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シェアサイクルのメリットとデメリット

シェアサイクルの利点や欠点はどのようなものがあるのか。

メリット:利用の手軽さ、公共交通機関の代替やSDGs推進にも

比較的安価な料金で、スマートフォンなどを通して手軽にレンタルできるのが大きな利点だ。特に、短時間で短距離の移動と相性が良い。通勤通学はもちろんのこと、仕事の外回りや観光地での利用にも適しているだろう。多くのサービスで、24時間いつでも借り出せる点も便利だ。

また、公共交通機関を使うことによる混雑や遅延を避けたいときにもおすすめだ。新型コロナウイルス感染拡大が懸念される現状では、「密」の回避にもなる。目的地の近くに電車やバスの路線がない場合の代替交通手段としての需要も高い。

さらに、利用状況によっては、自身で自転車を所有する場合に比べてコストを低く抑えられる場合もある。購入費用やメンテナンス、駐輪場代などの費用がかからないためだ。自転車は自家用車など他の移動手段に比べて環境にやさしく、SDGsの面からも評価が高い。

デメリット:ポートが少ない地域や長時間利用には向かないことも

ユーザーが集中したり、再配置が追いつかなかったりして自転車が足りなくなる場合や利用したい場所にポートがないと使いづらい点がデメリットだ。都市部を除くと、シェアサイクル自体が普及していない地域も少なくない。

また、エリア外を含む広範囲や長時間の利用を前提とする場合は向かないこともある。ただしサービスによっては、24時間や72時間など長時間利用向けの料金プランを設けていることもある。

どのような用途や理由で利用される?

一般財団法人「自転車産業振興会」は2021年2月に、定期、不定期を問わずシェアサイクルを利用している600人を対象に「シェアサイクル利用実態調査」を実施した。調査によると、シェアサイクルの利用用途は「近い距離の移動」が62.3%で最も多かった。続いて「他の交通手段がない目的地の移動(28.5%)」、「買い物(23.7%)」となっている。

利用する理由は「自分で自転車を持たなくて良いから(49.5%)」「利用方法が手軽だから(37.3%)」「24時間貸出・返却できるから(28.7%)」との回答が上位を占めた。

東京近郊のシェアサイクルを紹介

都内近郊で展開している主なサービスについて、利用方法や提供エリア、料金と特徴を紹介する。

ドコモ・バイクシェア

シェアサイクル

NTTドコモグループの企業が運営する。最初の30分が月に何度でも無料になる月額プランや法人会員プランもある。各種保険がついているのも安心だ。

ハローサイクリング(HELLO CYCLYNG)

シェアサイクル

ビジネスユーザーを対象とした、法人向けの支払いプランがある。営業所間の移動や顧客の訪問時などの利用方法が推奨されている。

ピッパ(PiPPA)

シェアサイクル

月額プランや長時間利用向けのデイパスもある(一部地域は対象外)。短時間、長時間のどちらでも利用しやすい。

コギコギ(COGICOGI)

シェアサイクル

上記エリアの他、下呂温泉や石垣島、伊勢など有名観光地で重点的に展開している。半日〜2日の長時間「乗り放題」を前提とした料金体系だ。月額サービスもある。

ループ(LUUP)

シェアサイクル

電動アシスト自転車だけでなく、電動キックボードも選べる点が特徴的だ。一定回数無料で利用できる「タダ乗りフェス」を開催している期間もある。

シェアサイクルの市場規模

国内外で拡大が続くという予測

シェアサイクル市場は近年拡大が続く。2021年7月にReport Oceanが発表したレポートでは、世界のシェアサイクル市場は2019年に34億3,000万ドルであり、2020年から2027年には14.0%の年平均成長率で69億8,000万ドルに至ると分析している。

また、シェアリングエコノミー協会などによる「日本のシェアリングサービスに関する市場調査」では、カーシェアやシェアサイクルなど「移動」分野での2020年度の市場規模は2,313億円だった。2025年度には5,130億円規模に拡大すると予測する。シェアリングサービス市場全体も、同様に好調なペースで成長する見込みだ。

市場成長の理由

このような市場成長の背景には、シェアサイクルがSDGsの取り組みや交通システムの課題解決手段として評価が高いことが挙げられる。

民間企業による多様なサービスだけでなく、地方自治体がシェアサイクルを運営するケースも増加している。例えば、岡山市の「ももちゃり」や金沢市の「まちのり」などだ。本格導入に向けて実証実験を進めている自治体も多い。

自動車などに比べて場所をとらず、ポートの設置に大掛かりな工事が不要であることから、店舗や自宅敷地の空きスペースを有効活用して収益化を図ることができるため、参画しやすい。コロナ禍で公共交通機関の利用を控える人が増加したことも、シェアサイクルのユーザーが増える一因となった。

国土交通省もシェアサイクルの普及を促進している。2021年度の税制改正において、市町村自転車活用推進計画に記載されたシェアサイクル事業を対象に、ポート設置にかかる固定資産税の特例措置が創設された。

シェアサイクルの課題

メリットの多いシェアサイクルだが、運営側にとっては採算が取りにくいという課題もあるようだ。利用者のマナーの問題や自転車の再配置が間に合わないという運営上の問題も生じている。これらの課題にはポート設備の改善やシェアサイクルを推進している国や自治体も一体となって利用状況を改善していくことが必要だ。

シェアサイクルに関するQ&A

Q1.自転車シェアリングの課題は?

現状では、都市部以外では普及が進んでいない地域がある。利用者のマナーの問題や運営側にとっては採算が取りにくいなどの課題がある。

Q2.シェア自転車のデメリットは?

借りたい場所にポートがなかったり、ユーザーの集中や再配置の人員不足のために自転車が利用できなかったりすることも考えられる。サービスによっては長時間や広エリアでの利用を前提としていない料金体系となっている場合もある。

Q3.シェアサイクルの利用理由や用途は?

シェアサイクルに関する実態調査では、近距離の移動や他の交通手段の代替としての用途が多いことがわかっている。利用理由では、自分で自転車を所有する手間やコストが削減できることや24時間いつでも手軽に借りられる利便性が挙げられた。

Q4.シェアサイクルの特徴は?

アプリなどを使って手軽にポートを検索したり、レンタルしたりすることができる。エリア内であれば借りた場所と異なるポートでの返却が可能で、24時間いつでも利用できるサービスも多いため、利便性が高い。特に、短時間で短距離の移動に適している。

Q5.シェアサイクルの利点や魅力は?

環境問題や渋滞など交通システムの課題の解決策として注目されている。自転車はエコな移動手段であり、SDGs推進の面からも評価される。ユーザーにとっては利用が手軽で、公共交通機関の混雑や遅延を避けられる点がメリットだ。自分で自転車を持つと必要になる購入費や維持費の節約にもなる。

市場拡大や新たなビジネスモデルに期待

近年市場拡大が進むシェアサイクルは課題もあるが、利用者にとっての手軽さや街の交通課題を解決する手段として有望だ。国による推進も追い風となり、民間企業だけでなく、導入を進める自治体も増えている。今後さらなる利便性や収益性を追求したビジネスモデルの展開に注目したい。

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文・岡本一道(経済ジャーナリスト)

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