女性特有の健康問題の解決を目的とした事業分野として、フェムテックが注目されている。フェムテックはSDGsとも関わりが深く、女性のウェルビーイングの実現につながるとされている。本記事では、フェムテックの定義や注目されている理由、フェムテックの具体的な商品やサービス事例を解説する。

目次

  1. フェムテックとは
    1. フェムテックの意味と定義
    2. フェムテックはなぜ注目されているのか
  2. フェムテックとSDGsとの関わり
  3. フェムテックに取り組む企業と製品事例
    1. 企業事例
    2. 製品やサービス事例
  4. フェムテック関連の補助金
    1. フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金
  5. フェムテックで自社の環境整備や事業開発を検討してみよう
  6. Q&A
    1. フェムテックの具体例は?
    2. フェムテックとはどういう意味ですか?
    3. フェムテック商品って何?
    4. フェムテックのメリットは?
  7. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ
女性のウェルビーイング実現に欠かせないフェムテックに注目
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

フェムテックとは

フェムテックは2012年ごろから使われだした言葉であり、新しい産業として期待される分野である。ここでは、フェムテックの定義やなぜ注目されているのかを解説する。

フェムテックの意味と定義

「フェムテック:FemTech」とは、生理や妊娠、更年期など女性特有のライフステージにおける健康問題を解決するための技術および開発された製品・サービスのこと。「女性:Female」と「技術:Technology」を組み合わせた造語である。

フェムテックはなぜ注目されているのか

2019年から施行された「働き方改革」では、女性活躍の推進もテーマとして盛り込まれている。産休・育休制度の整備や女性管理職の登用促進などは進められてきたが、女性特有の生理痛やPMSといった体調不良への具体的な支援は行われていなかった。

しかし、経済産業省によるフェムテックの経済効果は約1兆9,000億円~2兆1,000億円(2025年時点)と試算されており、その注目度が増している。

フェムテックとSDGsとの関わり

SDGsは世界共通のテーマであり、17の目標にはフェムテックと関わりが深い「健康や福祉」「ジェンダー平等」「産業と技術革新の基盤づくり」などがある。

女性の生活上の健康の悩みはもちろん、職場での体調不良による生産性の低下を改善することは「ウェルビーイング(健康や幸福)」にもつながり、SDGsの第8の目標である「働きがいや経済成長」の達成のためにも不可欠である。

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フェムテックに取り組む企業と製品事例

フェムテック産業にはすでに複数の企業が参入しており、商品化されている。ここでは、企業の取組みや製品の事例を紹介する。

企業事例

・シャープ株式会社

生理用品の収納と在庫管理、月経周期の管理がアプリと連携して自動でできるIoT収納用品のプロトタイプテストを実施し、事業化を目指している。

・株式会社TRULY

更年期の悩みを抱える女性に向けて、専門家によるヘルスケアセミナー動画の共有やチャット機能での相談サービスの実証実験を実施している。

製品やサービス事例

フェムテックに関連する製品は、アプリやウェアラブルデバイスなど幅広い。ここでは、いくつかの製品やサービス事例を紹介する。

・ルナルナ

月経管理を中心とした健康管理アプリだ。過去のデータを入力すると、生理日や排卵日を予測できる。

・cocoromi

不妊治療についてサポートするアプリだ。治療内容や費用などの統計データが閲覧でき、本人の不妊治療カルテの管理や患者同士がコミュニケーションを取れるトークルームもある。

・fermata store

フェムテック製品を専門に取り扱う世界初のオンラインストアサービスだ。東京では、百貨店などでポップアップショップを展開している。

フェムテック関連の補助金

フェムテック産業の成長を目指して補助金の公募も始まっている。今後も継続される可能性があるため、チェックしておくといいだろう。

フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金

経済産業省が2021年度から開始したフェムテック関連の補助金事業で、2022年度も継続している。フェムテック関連の製品やサービスの提供企業やその導入企業、自治体などが、実証事業費の3分の2以内(上限500万円)を補助される制度である。2021年度は20の事業体が採択された。

フェムテックで自社の環境整備や事業開発を検討してみよう

フェムテックは、2025年度の経済効果が約1兆9,000億円~2兆1,000億円と期待されている事業分野である。フェムテックによって女性の健康に対する悩みが解決できることは、自社の女性社員が安心して働ける環境整備にも役立つだろう。

フェムテックの導入はもちろん、他社との協業などによる市場参入を検討してみてはいかがだろうか。

Q&A

フェムテックの具体例は?

フェムテックを活用した商品やサービスとして、月経管理アプリの「ルナルナ」、妊娠中の母子の健康状態を把握する医療機器の「iCTG」、フェムテック専門のオンラインストア「fermata store」などがある。

フェムテックとはどういう意味ですか?

「Female」と「Technology」を組み合わせた造語で、月経不調や更年期障害をはじめとした女性特有の健康問題の悩みを解決するためのテクノロジー、および製品やサービスのことである。

フェムテック商品って何?

女性特有の健康の悩みを解決するために、フェムテックを活用した商品やサービスのことだ。月経管理アプリや更年期の悩みについて相談できるサポートサービス、吸水ショーツなど、課題分野に応じてさまざまなものがある。

フェムテックのメリットは?

フェムテックにより女性の職場での悩みが改善されることで、女性の活躍の場が増えるというメリットがある。また、フェムテック産業の2025年時点での経済効果は約1兆9,000億円~2兆1,000億円と試算されており、企業の事業拡大や個人起業の後押しにもなる。

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文・隈本稔(キャリアコンサルタント)

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