Backside works.(バックサイドワークス)
(画像=Backside works.(バックサイドワークス))

近年急浮上しているアーティストBackside works.(バックサイドワークス)。ストーリーを感じさせる表情でたたずむ彼女たちは「あなただけのヒロイン」だ。謎に包まれたBackside works.とは一体何者なのか? Backside works.の特徴が凝縮された作品《不機嫌な彼女達》をとおして、その魅力に迫ってみよう。

目次

  1. 謎多きアーティスト Backside works.
  2. なぜか不機嫌なヒロインが集合!《不機嫌な彼女達》
  3. ANDARTで《不機嫌な彼女達》を取り扱い中!

謎多きアーティスト Backside works.

Backside works.は登場して数年のアーティストなので、初めて名前を聞く人も多いだろう。まずはその歩みと作風を解説する。

画像出典:https://www.warpweb.jp/

日本のバンクシー? 福岡を拠点に匿名で活動

Backside works. は謎の多いアーティスト。福岡を拠点に活動しているが、本名や年齢、詳細な経歴は非公開で、顔出しもしていない。匿名で作品を発表している点では、国際的な人気を誇るバンクシーのようだ。オフィシャルサイトの「About」や「Artworks」のページにはもっともらしい画像が掲載されているが、解説文は意味不明な言語の羅列になっている。

2019年から東京・原宿のコンテンポラリーアートギャラリー「SH GALLERY」に所属。大阪で開催されたアートフェア「UNKNOWN ASIA 2019」でデビューした。その後、「アートフェア東京2021」への参加や、ギャラリーでの個展開催で、着実に知名度を上げてきている。

2020年には大手予備校「河合塾」のキービジュアルを担当し、街中にポスターが貼られていたため、目にしたことのある人も多いのではないだろうか。

画像出典:https://www.epoch-inc.jp/

こうして、印象的なヒロイン像が大勢の目に留まり、デビューして数年ながらアートファンの心をつかむこととなった。KAWSやKYNEのコレクターとしても知られる4代目バチェラーの起業家・黄皓(こうこう)氏も、シルクスクリーンの《河合塾》(2021年)を所有し、Instagramで公開している。

ただの女の子ではなく「ヒロイン」がコンセプト

“そんなのは私以外の人間がやっていればいい。私がやるべき事は1つ。ヒロインをあなたの元へ”

ただ可愛いオシャレな女の子を描く気は無い。観る者を「主人公」と捉え、主人公と共に物語を構築する存在「ヒロイン」を描きたい。 そんな信念で描いている。

引用:https://backsideworks.com/

Backside works.は、一貫して「ヒロイン」を描き続けている。「実在はしないかもしれない。でも確かに存在する彼女(ヒロイン)」は、かすかに微笑んでいたり、不機嫌そうにこちらを睨んでいたり、似ているようで異なるさまざまな表情を見せる。描き方はシンプルだが、その背景には詳細に作り込まれたストーリーがあるのだという。

画像出典:https://www.warpweb.jp/

活動当初から続く「VALIANT GIRL」シリーズでは、さまざまなヒロインの日常の一コマを切り取っている。必殺技のポーズを決めている彼女や、着物姿でヘッドフォンをつけた彼女など、「なんでそうなった?」と前後のストーリーが気になるものばかり。

Backside works.いわく、「1roomの自分の城に自分だけのヒロインを飾って頂き、日々ストーリーを妄想してもらうっていう事が私なりのアート観」。たしかに、ふとした瞬間の表情をとらえた画面からは、自分だけのために描かれたような親密さが感じられる。「どんな出来事を経て彼女はこの顔をしているんだろう?」「このあと何を語りかけてくるんだろう?」とストーリーに思いを巡らすことで、自分とヒロインとの関係性が深まっていく。そうしたプライベート感が、彼女たちを何度も見たくなってしまう理由かもしれない。

自称「ミクストサブカルチャーアーティスト」
数少ない情報によれば、Backside works.は1980・90年代のサブカルチャーに影響を受けた自称「ミクストサブカルチャーアーティスト」。本人から詳しい解説はないが、Backside works.が影響を受けたさまざまなサブカルチャーやメディアをミックスさせたアートということのようだ。

Backside works.が特に愛好しているのは、日本のオタク文化やストリートカルチャー。イラスト風の人物像にはアニメーションの趣があり、ヒロインの服装やスケボーなどの小物からはストリートの雰囲気が感じられる。また、スプレーペイントやステッカーといったグラフィティに特徴的な手法も好んで用いている。

代表的な「VALIANT GIRL」シリーズのステッカーは、展示会場やポップアップストアで販売されるたびに即完売する人気ぶり。購入者がステッカーをもとにしたグラフィティを路上に残すなど、アーティストの手を離れたところでもストリートカルチャーに影響を与えている。

画像出典:プレスリリース

スタイリッシュな作風はファッションブランドとも相性が良く、「CONVERSE(コンバース)」や「430(フォーサーティー)」×「MONTLEY(モーレー)」などとのコラボも手がけてきた。

2022年2月には、デジタルファッションレーベル「1BLOCK」とのコラボレーションで、本物のスニーカーと紐付いたバーチャルスニーカー“AIR SMOKE ZERO”を発表。世界最大級のNFTマーケットプラットフォーム「Open Sea」にて1週間の期間限定で販売した。和装のヒロインが大胆にデザインされたスニーカーは、Backside works.初のNFT作品となり話題を呼んだ。

なぜか不機嫌なヒロインが集合!《不機嫌な彼女達》

Backside works.の魅力に迫るために、《不機嫌な彼女達》という作品を見てみよう。

《不機嫌な彼女達》(2021年)
(画像=《不機嫌な彼女達》(2021年))

「不機嫌な彼女」シリーズとは
2021年3月、東京国際フォーラムで開催された日本最大級の国際アートフェア「アートフェア東京」。そこに登場したBackside works.のブースでは《不機嫌な彼女《さらに不機嫌な彼女》《やたら不機嫌な彼女》《そして不機嫌な彼女》と題された4点のキャンバス作品が展示された。

それぞれのキャンバスに描かれたヒロインは、なぜか不機嫌な表現を浮かべている。なのでBackside works.はこのブース展示を『不機嫌な彼女展』と呼ぶ。彼女たちが不機嫌な理由については、「自分の胸さ聞いてみれ!」とのこと。

4人集合したシルクスクリーン作品《不機嫌な彼女達》
不機嫌そうなヒロイン、ストリート系のファッション、シンプルな線描など、Backside works.の特徴が凝縮された「不機嫌な彼女」シリーズ。特別限定ステッカーはアートフェア東京で配布された他、ウェブ販売でも完売するなど好評を博した。

4人の「不機嫌な彼女」を1枚にまとめたのが《不機嫌な彼女達》だ。こちらはシルクスクリーンプリントで100枚制作され、「アートフェア東京2021」の一般開場日からオンライン販売を開始。1人でも魅力的なヒロインが4人もそろっている贅沢な作品となっている。

そこに描いてある『存在』はあなたの活力になりえるのか。私は、キャンバス上に存在するあなただけのヒロインに全てを託します。

Backside works.のInstagram投稿より

オークションでの落札価格
《不機嫌な彼女達》は2021年3月に発表された後、1年間の転売禁止期間を経て、2022年には国内の主要オークションに登場するようになった。発売価格は110万円(額装費を含め128.7万円)だったが、直近のオークション(2022年7月15日SBIオークション)では230万円(手数料込み)で落札。まだ新しいアーティストで評価が定まっておらず、落札データも少ないため将来性の予測は難しいが、国内中心に人気が高まっていることは間違いない。

ANDARTで《不機嫌な彼女達》を取り扱い中!

2022年9月27日(火)、ANDARTで、本記事で紹介したシルクスクリーン作品《不機嫌な彼女達》を取り扱いを開始。発売後わずか30分足らずで完売となりました。会員間売買の解放をお待ちください。

若手アーティストの作品を自分で購入するのは勇気が要るかもしれないが、共同保有であれば1万円からオーナーになれる。マーケットの値動きをチェックする楽しみも増えるので、気軽にトライしてみてはいかがだろうか。

他にも国内外の有名アーティストの作品を多数取扱中。少しでも気になったら作品一覧をチェックしよう。無料会員登録すれば、オークション情報や話題の展覧会情報など、今が旬のアートニュースを受け取れる。

文:ANDART編集部