政府が臨時国会で「2050年カーボンニュートラル宣言」をして以来、カーボンニュートラルという言葉を目にする機会が増えている。ここではカーボンニュートラルの意味に加えて、世界や日本の現状、投資との関係性などを解説する。

目次

  1. カーボンニュートラルとは?
    1. カーボンオフセットとの違い
  2. カーボンニュートラルがCO2削減につながる仕組み
  3. カーボンニュートラルはなぜ必要? 注目される背景
    1. 京都議定書で6%の削減目標が設定される
    2. パリ協定で124ヵ国がカーボンニュートラル実現を表明
    3. SDGsやESG経営の浸透
  4. カーボンニュートラルの国内事例
    1. 【事例1】国内発となるカーボンニュートラルステーション/阪急電鉄
    2. 【事例2】サプライチェーンの徹底した見直し/ミサワホーム
    3. 【事例3】カーボンリサイクルの実証実験/クールジェン
  5. カーボンニュートラルの海外事例
    1. 【事例1】有機肥料によるCO2の固定化/パタゴニア
    2. 【事例2】カーボンニュートラル専用の新工場/ダノン
    3. 【事例3】燃料電池搭載の大型トラック(FCV)を開発/ダイムラー
  6. カーボンニュートラルと投資の関係性
    1. ESG投資との関係性
    2. 投資面での優遇措置
  7. カーボンニュートラルは今後どうなる?現状と将来性
    1. 2050年までのカーボンニュートラル実現が世界的な目標に
    2. 日本では「2030年目標」と「グリーン成長戦略」を目指す流れに
  8. カーボンニュートラルの始め方や相談先
    1. まずは温室効果ガスの排出量を把握する
    2. リスクを徹底的に洗い出し、明確な目標を設定する
    3. 関連する政策やプロジェクトを調べておく
    4. 情報開示を前提に計画する
    5. 専門家への相談も検討する
  9. カーボンニュートラルのよくある質問
    1. Q1.カーボンニュートラルとはどういう意味?
    2. Q2.カーボンニュートラルの始まりは?
    3. Q3.カーボンニュートラルの仕組みは?
    4. Q4.カーボンニュートラルは何をすれば良い?
    5. Q5.カーボンニュートラルと脱炭素の違いは?
    6. Q6.カーボンニュートラルの具体例を知りたい
    7. Q7.カーボンニュートラルの難しさやデメリットとは?
  10. 環境問題への取り組みが企業価値につながる時代へ
カーボンニュートラルとは? 日本・海外の現状や将来性を事例つきで解説
(画像=Tiko/stock.adobe.com)

カーボンニュートラルとは?

カーボンニュートラルとは、環境に配慮する取り組みによって温室効果ガスの排出量をゼロにすることである。ここで言う温室効果ガスには、CO2(二酸化炭素)やメタン、フロンガスが含まれる。

実際の排出をなくすことは難しいため、カーボンニュートラルでは「排出量・吸収量・除去量」の合計値がベースとなっている。つまり、吸収量+除去量が排出量を上回った場合は、カーボンニュートラルを実現したことになる。

カーボンオフセットとの違い

カーボンニュートラルと似た用語に、「カーボンオフセット」がある。これは、経済活動や日常生活で削減しきれなかった温室効果ガスを別の手段で埋め合わせることだ。

○カーボンオフセットの例
・ほかの場所で削減された分を購入する
・温室効果ガスの削減活動への寄付
・関連プロジェクトへの投資 など

簡単に言い換えれば、カーボンオフセットはカーボンオフセットを実現する手段のひとつである。

カーボンニュートラルがCO2削減につながる仕組み

カーボンニュートラルの仕組みは、「排出」と「吸収・除去」に分けると理解しやすい。

カーボンニュートラルとは? 日本・海外の現状や将来性を事例つきで解説
カーボンニュートラルとは? 日本・海外の現状や将来性を事例つきで解説
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例えば、川崎バイオマス発電所では木質バイオマス燃料(再生可能エネルギー)を使用することで、温室効果ガスを抑える工夫をしている。木質バイオマス燃料は建設廃材を原料としているため、森林による吸収量を極力減らさずに発電することが可能だ。

世界的にこのような努力や工夫が行われれば、「排出量=吸収量+除去量」に近づきカーボンニュートラルが実現しやすくなる。ちなみに、カーボンニュートラルが完全に達成された状態は「脱炭素社会」と呼ばれており、近年では多くの企業がスローガンや目標として掲げている。

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カーボンニュートラルはなぜ必要? 注目される背景

そもそも、カーボンニュートラルはなぜ現代社会に必要なのだろうか。ここからは世界的な動向とともに、カーボンニュートラルが注目される背景を解説しよう。

京都議定書で6%の削減目標が設定される

地球温暖化に対する国際的な取り組みは、1992年のリオサミットから始まったとされている。このサミットで「国連気候変動枠組条約」が採択され、1993年12月までに50ヵ国が批准した。

さらに1997年に開催されたCOP3(国連気候変動枠組条約締約国会議)では、具体的な数値目標を盛り込んだ「京都議定書」が採択される。その結果、温室効果ガスを削減させることが国際的に義務化され、日本は1990年比で6%の削減目標を設定した。

パリ協定で124ヵ国がカーボンニュートラル実現を表明

京都議定書によって環境への意識は高まったものの、具体的な削減目標が設定されたのは先進国のみであった。その影響で先進国と途上国が対立し、後にアメリカは削減目標の約束を破棄してしまう。

このような中、京都議定書を引き継ぐ役割として2015年に採択されたのが「パリ協定」だ。2021年1月の時点では124ヵ国がカーボンニュートラル実現を表明しており、先進国・途上国が足並みをそろえて環境問題に取り組む土台が整った。

SDGsやESG経営の浸透

さらに2015年9月の国連サミットでは、国連加盟の193ヵ国が2030年までに達成するべき目標として「SDGs(持続可能な開発目標)」が採択された。また、環境への意識が強まるにつれて、企業や投資家の間ではESG経営(※)が注目されるようになり、近年では世界最大の年金基金GPIFも巨額なESG投資を行っている。

(※)「環境・社会・ガバナンス」の3要素を重視した経営手法のこと。

カーボンニュートラルとは? 日本・海外の現状や将来性を事例つきで解説

このような流れで、今やカーボンニュートラルの考え方は世界中に浸透しており、SDGsやESGに取り組む企業も珍しくなくなった。将来的には環境問題や社会問題への貢献度が、そのまま企業の評価や価値に直結する可能性があるので、中小経営者にとってもカーボンニュートラルは重要なキーワードになりつつある。

カーボンニュートラルの国内事例

ここからは、カーボンニュートラルの国内事例を3つ紹介する。

【事例1】国内発となるカーボンニュートラルステーション/阪急電鉄

阪急電鉄の摂津市駅は、太陽光発電やLED照明の活用によってカーボンニュートラルを実現した(※国内の駅としては初)。以前の二酸化炭素排出量は年間約70トンだったが、これらの施策によって約36トンの削減を達成している。

残りの排出量である約34トンについては、二酸化炭素排出枠の購入によって相殺した形だ。

【事例2】サプライチェーンの徹底した見直し/ミサワホーム

大手ハウスメーカーであるミサワホームは、サプライチェーン排出量の算定・削減に取り組んでいる。環境にやさしい製品の開発をはじめ、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー住宅)の推進、省エネルギー住宅の提供など、サプライヤーと協力しながら温室効果ガスの排出量を減らしてきた。

その成果は着実に表れており、2013年度に全体の90%を超えていたScope3の排出量は、2019年度の時点で約75%にまで減少した。

【事例3】カーボンリサイクルの実証実験/クールジェン

広島県に本社を構えるクールジェン(※)は、二酸化炭素のリサイクルに取り組んでいる。現時点ではプロジェクトの段階ではあるが、同社のカーボンリサイクルが実現すれば、発電所や工場から排出されるCO2を90%ほど削減できる見込みだ。

(※)中国電力とJパワーの共同出資会社。

大手電力会社が出資している本格的なプロジェクトであるため、業界内外から広く注目されている。

カーボンニュートラルの海外事例

次は、カーボンニュートラルの有名な海外事例を紹介しよう。

【事例1】有機肥料によるCO2の固定化/パタゴニア

米国のアウトドア用品メーカーであるパタゴニアは、環境再生型有機農業によるカーボンニュートラルに取り組んでいる。具体的には、有機肥料によってCO2を土壌に固定化させるプロジェクトを進めており、同社はミッションとして「故郷である地球を救う」を掲げている。

ソーラー・シェアリングやサプライチェーンの改善にも取り組んでいるため、国内企業も参考にできるポイントが多いはずだ。

【事例2】カーボンニュートラル専用の新工場/ダノン

フランスの大手食品メーカーであるダノンは、約3億円をかけてカーボンニュートラル実現のための新工場を設立している。この新工場では再生素材を利用できるのに加えて、敷地内にサプライチェーンを改善する鉄道駅も設けられた。

さらに同社は廃棄物の92%をリサイクル、残りの8%をエネルギー原料にすることで、廃棄物ゼロの製造環境を実現している。

【事例3】燃料電池搭載の大型トラック(FCV)を開発/ダイムラー

ドイツの自動車メーカーであるダイムラーは、燃料電池を搭載した長距離用の大型トラックを開発している。FCV(燃料電池自動車)の課題は水素ステーションの少なさと言われるが、同社が開発するトラックは継続して1,000km以上を走行できる見込みだ。

2023年にはテスト走行が始まる予定なので、すでに実用化や量産化が多方面から期待されている。

カーボンニュートラルと投資の関係性

カーボンニュートラルと投資には関わりがあるため、企業によっては環境への取り組みが資金調達につながる。ここからは、具体的にどういった関係性があるのかを整理していこう。

ESG投資との関係性

近年では財務情報だけではなく、非財務情報に投資家の目が向けられている。SDGsなどが採択された影響で、社会に役立つ取り組みが企業価値につながると考えられているためだ。

なかでも「環境・社会・ガバナンス」の3つは注目されており、これらの要素を加味した投資は「ESG投資」と呼ばれている。ESG市場は先進国を中心に拡大し、2020年には世界全体で35兆ドルを超えた。

すでに日本でもESGは注目されており、企業価値を高めるためにカーボンニュートラルに取り組む例は少なくない。ルールや法整備も進んでいるため、ESG市場は今後しばらく拡大すると考えられる。

投資面での優遇措置

カーボンニュートラルを進めようにも、資金が限られた中小企業だけで取り組めることは少ない。そのため、日本国内では関連する投資を行う企業に対して、さまざまな優遇措置が実施されている。

○優遇措置の例

・カーボンニュートラル投資促進税制
カーボンニュートラルに関わる設備投資の一部を、法人税額から控除できる制度。特別償却としても計上できるため、企業によってはキャッシュフローの圧迫も防げる。ただし、対象設備は温室効果ガスの削減効果が高く、新たな需要を生み出すものに限られる。

・グリーンプロジェクト基金
経済産業省が実施する、さまざまなグリーンプロジェクトを支援するための基金。洋上風力発電や次世代型太陽電池など、CO2削減に関するプロジェクトを積極的に支援している。研究開発から社会実装までをサポートしてもらえるため、製品化を目指す企業にとってメリットが大きい。

カーボンニュートラルには2050年に向けた目標があるため、今後も新たな優遇措置が実施されるかもしれない。地域によっては自治体による支援も期待できるので、プロジェクトに取り組む企業はしっかりと情報収集をしておこう。

カーボンニュートラルは今後どうなる?現状と将来性

では、カーボンニュートラルの今後はどのように予想されているのだろうか。ここからは日本と海外に分けて、カーボンニュートラルの現状と将来性について解説する。

2050年までのカーボンニュートラル実現が世界的な目標に

世界のカーボンニュートラルは、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)による調査結果がベースになっている。同機構は地球の気温上昇を1.5度以内に抑える条件として、「2050年近辺までのカーボンニュートラル実現が必要」と提唱した。

この流れを受けて世界各国(※)は目標を設定し直すなど、2050年までに脱炭素社会を目指す動きが強まっている。

(※)2021年1月時点で124ヵ国と1地域が該当。

例えば、アメリカは2021年のバーチャル気候変動サミットにおいて、「2030年までに2005年比で温室効果ガスを50~52%削減する」という目標を掲げた。国によっては新型コロナや自然災害などさまざまな問題を抱えているものの、多くの地域でカーボンニュートラルは優先的に実現すべき課題と認識されている。

日本では「2030年目標」と「グリーン成長戦略」を目指す流れに

日本についても、カーボンニュートラルの目標は京都議定書の段階から掲げられている。当初は1990年比で6%の削減目標だったが、その後は2013年比で「2030年までに26%の削減」「2050年までに80%の削減」のように引き上げられた。

しかし、この目標でも2050年のカーボンニュートラルは実現できないことになる。そこで政府は2020年10月に「2050年までの脱炭素社会化」を宣言し、その2本柱として「2030年目標」と「グリーン成長戦略」を掲げた。

○「2030年目標」と「グリーン成長戦略」とは?

・2030年目標

「温室効果ガスを2013年度比で46%削減する」と設定した目標のこと。政府はこの目標を達成するために、脱炭素電源の活用や脱炭素化への地域支援、グリーン国際金融センターの創設といった策を公表している。

ほかにもさまざまな政策を打ち出すことで、脱炭素化を世界的にリードする狙いがある。

・グリーン成長戦略

「経済と環境の好循環」の実現に向けて、洋上風力産業や燃料アンモニア産業をはじめとする14分野の目標を掲げた政策のこと。ほかにも水素産業や原子力産業など、温室効果ガスの削減につながる政策がまとめられている。 また、黒字企業に投資促進税を導入するなど、国内企業に対する取り組みも公表された。

上記の2つは、今後の方向性に大きく影響する柱であるため、重要なキーワードとしてしっかりと覚えておきたい。

カーボンニュートラルの始め方や相談先

カーボンニュートラルにはさまざまな方向性があるため、具体的な施策をなかなか打ち出せない企業も多いだろう。ここからはカーボンニュートラルの始め方として、企業が押さえておきたい5つのポイントを紹介する。

まずは温室効果ガスの排出量を把握する

カーボンニュートラルのプラン策定では、まず自社の排出量を把握しなければならない。温室効果ガスが排出されるタイミングについては、国際基準である「GHGプロトコル」を用いると分かりやすいだろう。

カーボンニュートラルとは? 日本・海外の現状や将来性を事例つきで解説

企業の経済活動は、「Scope3→Scope1→Scope2→Scope3」の流れで行われる。商品・サービスの製造過程はもちろん、サプライチェーンも温室効果ガスの排出源となる点に注意しておきたい。

サプライチェーンの排出量測定については、環境省の公式サイトで手順がまとめられている。

リスクを徹底的に洗い出し、明確な目標を設定する

温室効果ガスの排出量や排出機会を特定したら、次は将来的に直面するリスクを洗い出し、明確な目標を設定しよう。目標については自社が取り組むべき分野を絞り、Scope1~Scope3に分けて削減目標値を設定する方法が分かりやすい。

このときに立てた目標は、具体的な施策を考える際のベースとなる。地域や社会への貢献はもちろん、企業努力によって現実的に達成できる目標であることが重要だ。

関連する政策やプロジェクトを調べておく

実際のプラン策定にあたっては、政府による支援策やプロジェクトもチェックしておきたい。前述のグリーン成長戦略のように、投資面や税制面などでメリットを受けられる政策も存在するためだ。

現時点で利用できるものがなくても、今後新たな支援策が誕生する可能性は十分に考えられる。環境省や経済産業省、自治体などの公式サイトをこまめに確認し、利用できる支援策を見つけたら積極的に申請しておこう。

情報開示を前提に計画する

カーボンニュートラルに関する取り組みは、情報開示をしないと外部から評価されない。本来の目的は地球環境の改善だが、企業経営の中で取り組むにはメリット(利益)が必要になるため、情報開示を前提としたプランを策定しよう。

例えば、東芝グループは定期的にレポートを公開しており、Scope1~3における目標値や結果、対象範囲などがまとめられている。ESG投資の面でも大きな意味合いをもつため、「どこで公表するか?」や「どのような情報を公開するか?」は慎重に検討しておきたい。

専門家への相談も検討する

カーボンニュートラルのプラン策定時には、温室効果ガスに関する高度な専門知識が求められる。また、中小企業でできることには限りがあるため、ケースによってはサプライチェーンに関わる企業と協力する必要も出てくるだろう。

そこで検討したい方法が、政府や自治体、専門家などへの相談だ。実際にどのような相談先があるのか、以下で簡単に紹介しておこう。

○カーボンニュートラルの相談先(例)
・中小機構のオンライン相談窓口
・各自治体のカーボンニュートラル相談窓口
・専門のコンサルティング会社

中小機構などの公的な窓口は、無料で対応してもらえることが多い。ただし、基本的には事前予約制となるため、スケジュールに余裕ができたら早めの相談を意識しよう。

カーボンニュートラルのよくある質問

ここからは、カーボンニュートラルのよくある質問集をまとめた。正しい方向性でプランを立てるためにも、基本的な知識からしっかりと押さえていこう。

Q1.カーボンニュートラルとはどういう意味?

カーボンニュートラルとは、地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出量と吸収量・除去量を均衡させることである。また、カーボンニュートラルが実現した社会は「脱炭素社会」と呼ばれている。

脱炭素化は世界的な課題であり、日本政府も2050年までに温室効果ガスの全体としての排出量をゼロにする目標を掲げている。

Q2.カーボンニュートラルの始まりは?

世界が環境問題に取り組み始めたのは、1992年の地球サミット(気候変動枠組条約)からとされている。その後、京都議定書の締結などを経て、「カーボンニュートラル」という言葉は21世紀から多く聞かれるようになった。

21世紀に入ってからは各国が政策目標を掲げており、環境意識の高い企業もスローガンなどとして掲げている。

Q3.カーボンニュートラルの仕組みは?

カーボンニュートラルでは、企業の経営活動やヒトの社会生活によって生じた温室効果ガスを、吸収または除去によって減らすことが目指されている。例としては、森林による吸収や土壌への炭素化などが挙げられる。

また、バイオマス燃料などの使用によって、温室効果ガスの排出量自体を減らすことも重要視されている。

Q4.カーボンニュートラルは何をすれば良い?

カーボンニュートラルの取り組み内容は、企業によってさまざまである。製造過程やサプライチェーンの見直しはもちろん、細かい部分では電気やガスの節約、公共交通機関を使った移動(ガソリン使用量の減少)なども含まれる。

Q5.カーボンニュートラルと脱炭素の違いは?

カーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロ(中立にする)にする考え方である。「排出量=吸収量+除去量」の構図をイメージすると分かりやすい。

一方で、脱炭素という言葉には「温室効果ガスを完全に取り除く」といった意味合いも含まれる。

Q6.カーボンニュートラルの具体例を知りたい

カーボンニュートラルの例としては、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換、カーボンリサイクルの活用、エネルギーの水素化などが挙げられる。また、広義では関連プロジェクトへの寄付や投資なども含まれるが、これらは「カーボンオフセット(※)」に分類されることが多い。

(※)投資や寄付、除去分の購入などを通して、温室効果ガスの排出分を埋め合わせること。

Q7.カーボンニュートラルの難しさやデメリットとは?

カーボンニュートラルを実現するには、再生可能エネルギーや省エネルギーに関する設備や機器が必要になる。これらの導入コストや維持コストは、資金が限られた中小企業にとっては大きな負担となる。

そのため、政府はカーボンニュートラルに取り組む企業に対して、グリーン成長戦略などの支援策を実施している。

環境問題への取り組みが企業価値につながる時代へ

カーボンニュートラルの考え方はすでに広く浸透しており、特に欧米や日本では具体的な削減目標まで掲げられている。また、SDGsなどの関連ワードも注目されているため、環境問題への取り組みが企業価値につながる時代が近づいてきている。

どのような企業にもできることはあるので、本記事を参考にしながらカーボンニュートラルに関するプランを考えてみよう。

著:片山 雄平
1988年生まれのフリーライター兼編集者。2012年からフリーライターとして活動し、2015年には編集者として株式会社YOSCAに参画。金融やビジネス、資産運用系のジャンルを中心に、5,000本以上の執筆・編集経験を持つ。他にも中小企業への取材や他ライターのディレクション等、様々な形でコンテンツ制作に携わっている。
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