M&Aは結婚とも言われます。入籍したらそれでおしまいという夫婦がいないように、M&Aも契約を締結してからが本番です。今回はM&Aのプロセスのなかでも、買収した組織をその後いかに運営していくべきかについて説明していきます。
買収した企業の管理の仕方
「売り手企業の経営者が優秀だから買収をする。これからも今まで通りよろしく」
上記のように宣言した上で買収した企業の経営自体を放任、丸投げする買い手がいます。しかし、M&Aにおいてこのような放任は絶対にやってはいけません。
なぜなら、買収先をコントロールができなくなる恐れがあるからです。買収後、万が一その会社の経営者が去り、後を追うように幹部や従業員も離脱してしまったら、その会社の強みを生かせなくなり、買収自体が失敗に終わってしまいます。
では、買収した企業をどのように管理したらよいでしょうか。取り組むべきことは大きく二つあります。
ルールを統合して守らせる
企業にはそれぞれルールが存在するでしょう。まずは、そのルールを統合していく作業が必要です。
ここでいうルールとは、「誰でも守れる、能力の有無が存在しないルール」です。例えば、以下のようなものですね。
・挨拶
・身だしなみ
・出勤時刻を守る
・整理、整頓
皆さんの会社では、誰でも守れるルールを社員に100%守らせることができていますか。もし守れていない社員がいるならば、ルールの形骸化が起きています。
こういう組織においては、ルール違反があっても厳しい対応ができないため、同じミスが何度も発生し、いつまでたっても組織の生産性が向上しません。社員たちが100%ルールを守れるようになることが、組織運営上、極めて重要なのです。
役割を明確にする
次に、買収した企業に属している社員たちの役割を明確にしましょう。役割が明確とは、「上司から求められている成果を部下が理解できていること」です。役割が不明確だと、Aという役割を求められている社員がBやCに向けて全力で行動してしまう、といった事態が起きてしまいます。
これは無駄働きにほかなりません。経営する側としては、「部下が分かってくれない」「何度言っても理解してくれない」「もうあの人に指導するのは諦めよう」などと考えてしまいがちです。
「こんなことが起きるはずがない」と思う経営者もいるかもしれませんが、頻繁に社員が離職していく会社は特にこれに該当していることが多いです。原因は言うまでもなく経営者自身にあるのです。
ここまで、買収先のよさを生かすための組織運営法について見てきました。現在当社ではM&A戦略や組織運営の手法も含めて、「経営者のためのM&Aトレーニング」をご提供しています。ぜひ皆さんのM&Aに関する課題解決に向けて、私にできることがあれば何なりとご相談ください。