日本企業のニューノーマル_5
(画像=THE OWNER編集部)

化粧品製造・販売を行うハリウッド株式会社は、96年の歴史を有し、ユニバーサル対応や街並みのクリーンアップ、障害のある方への支援、アニマルフリー(開発に際して動物実験を行わない)をはじめとする動物福祉活動など、ESG経営の伝統を継承し、CSR活動を積極的に進めている。

第一弾では、オーナー社長の牛山大輔に、社長就任当時のことから環境に対する想い、アニマルフリーの取り組みなど、興味深いさまざまなお話を伺った。

就任と同時にいらないものを整理し、改革を進めた

―――御社は100年近く続いているような、歴史の長い企業ですが、その中で牛山様の就任当時の話や、先代から代替わりして自分が行った改革や、変化をおよぼしたことなどについてお聞きしたいと思います。就任した当時、どのようなことに取り組まれたのでしょうか。

牛山 当社は、ご存じの通り古い会社なので、合理化政策や情報の公開といった、今の日本の社会と同じようなことに取り組みました。僕自身、ニューヨークで長く働いていたので、多少アメリカ流で進めるところがあって、いいものは取り入れたようと思っていました。例えば、会議の進行の仕方とかスケジュール管理とか、細かいところからでしたが、他の中小企業よりは先に欧米化を進めたと思っています。それは、女子社員の制服を私服にしようとか、フレックスタイム制を導入しようとか、フリーアドレスの机にしようとか、はじめはそのようなことでした。

96年歴史があると、不要なことも多くて、お歳暮だけで1度に500個あったのを、100個ぐらいに減らしたりしましたね。これまで長くやっているといろいろご縁があって、やめられないこともあったので、就任のタイミングで、「昔の話はよく分かりませんけどね」といってやめたりしました。お客さんも「新しい社長になったから、仕方ないね」という感じでご理解いただきました。そのようなことは、一般の社員だったら難しいけれど、オーナー社長だから代替わりのタイミングでそのようなことも可能だったと思っています。

そういったスモールビジネス、ファミリービジネスならではの良さがあって、ファミリーだからこその影響力のようなものもある。僕は、それを理解したうえで、あぐらをかくのではなく、ファミリービジネスだからこその得意な分野を生かそうと思いました。それを踏まえて自分の立ち位置を明確にして、改革をやったという感じです。

ニューヨークでの経験があったからこそ、楽しみながら企業経営

―――非常に興味深いお話をありがとうございました。ファミリービジネスだからこそ、オーナーだからこそできたことがあるとお話されましたが、その長い歴史の中でオーナー、経営者だと社内でも、取引先関係先とも非常に深い関係があると思いますが、その中でも、一番これは苦労したな、というお話はありますか?

牛山 苦労はほとんど感じませんでした。僕のやり方か、性格かはわかりませんが、障害があった、という気はしていません。もしかしたらほかの経営者の方から見たら、結構大きい障害だったのかもしれませんが、経営は楽しみながらやっている。社長に就任する前は、ニューヨークの国連本部で、途上国支援などをしていました。そのような仕事は、障害や障壁が本当に多くて、そのうえテロもあって、会社とか組織の改革とか政治決裂のような話の方が、僕の人生にとっては大きな障害でした。人がたくさん亡くなるような体験していると、戦争を体験したような感じになっていて、今やっていることは、大した話ではない、という気がしています。まだまだ、非常に楽しみながら経営しているので、あんまり苦労とか感じたことがないですね。

ニューヨークでも、途上国でも普通にピストルを突き付けられるようなこともありましたので、それを考えると、今は死ぬわけではないし、襲われることもないので、会社の経営に対する障害はそれほど気になりません。そのような体験が原点となっていて、どんなことも冷静に考えれば、もっといい方法があるのではないかと思うので、気にならないのかもしれません。