地域の高齢者を支える拠点として配食ネットワークを全国に展開―シニアライフクリエイト
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高齢者専門の宅配弁当チェーンを全国で展開するシニアライフクリエイト。地産外商による地域経済の活性化や過疎地でのネットワーク構築など、独自の取り組みで顧客基盤を盤石なものとしている。(経済界電子版より転載

シニアライフクリエイト
代表取締役 高橋 洋(たかはし・ひろし)

地方の特産品を全国で消費する地産外商

長引くコロナ禍においても安定した顧客基盤を抱えるシニアライフクリエイトは、現在さまざまな新しい取り組みにチャレンジしている。

「在宅率が上がったことで新たに配食を求めるケースもあり、全体の配食数については安定した数字で推移しています」

そう高橋洋代表は語る。同社が手掛ける高齢者向けの宅配弁当チェーン「宅配クック123(ワン・ツゥ・スリー)」は、高齢者の健康維持に必要な栄養バランスに配慮した弁当を1食税込み594円という低価格で昼・夕配達する。「お届けするのは体の栄養と心の栄養」という方針の下、タンパク質量を重視したメニューと安否確認等のきめ細かなサービスが支持を集めている。

そんな同社が注力しているのが、地産外商だ。地域で採れる農産物や魚介類を地元で消費する地産地消だけでは、人口減少などによりマーケットが縮小する地域ではどうしても消費量に限界がある。また、地元の飲食店や道の駅などに卸していた食材の販路も、コロナ禍で縮小傾向が止まらない。結果、1次産業に従事する人口は減る一方になっている。そこで、地産外商によって地域経済の振興と宅配弁当メニューの多様化の実現を目指している。

「地元の食材をなるべく地元の加工業者で製造し、当社の宅配弁当のメニューとして、安定的に全国の高齢者が消費するという地産外商こそが、地域活性化の一助になると考えています」

その第1弾として採用したのが、同社が包括連携協定を締結した高知県土佐清水市の名産品「そうだがつお」だ。昨年、「そうだがつおの角煮」に続いて宗田節を使用した「おかか昆布」と「おかか佃煮」をメニューに取り入れて全国の顧客に提供し、好評を得ている。

「今年3月からの春メニューでは、健康寿命の延伸にも効果的というデータがある高知県産『ししとう』を使ったメニュー『ししとう甘酢あん』と『ししとう肉味噌和え』を追加する予定です。将来的には、当社の宅配弁当で高齢者の健康寿命が伸び、結果として地域の医療費や介護費用の削減が実現したというエビデンスを取っていきたいですね」

こうした同社の取り組みについては、行政との連携も欠かせない。

「農家や漁業といった1次産業から流通などの3次産業、そして食品加工をはじめとする6次産業に至るまで、地域内でお金が還流するモデルができれば、当社の高齢者配食事業に対し行政の理解も得やすくなるでしょう」

高齢者のコミュニティで地域社会に貢献

その効率の悪さから同業他社が敬遠しがちな過疎地や離島においても、配食ネットワークの構築に積極的であるのも同社の特長だ。

「現在、当社の配食サービスは日本の全面積で言うとまだ40%程度しかカバーできていません。そこを100%にすることを最大限の目標にしています」

2020年5月には小豆島に政策的な直営店をオープンした。都市部に比べて移動距離が長く、宅配の効率が上がらない中、ビジネスとして収益を確立させるための施策を相次いで打ち出している。その一つが、同社が創業時から構想を温めてきた高齢者向けのコミュニティサロン「昭和浪漫倶楽部」の運営だ。地域の高齢者が気軽に立ち寄ることができ、誰かと一緒に楽しく食事をする「共食の場」や趣味や娯楽を楽しむ文化教室など、幅広いサービスを提供する。

「高齢者が集う場所となると、コロナ禍の影響を受けてしまうため、本格稼働はコロナがある程度落ち着いてからになりますが、現在はその土台づくりをしている段階です」

さらに、サロン内には総菜店「福み味」も併設する。宅配弁当の拠点でありながら、小売店舗として地域の消費者に総菜や弁当を販売することにより、トータルで収益につなげ、二次離島の高齢者にも食事を配達しようという決意だ。

「民間企業として継続的にサービスを提供するには、福祉的な切り口ではなくビジネスとして成立させる必要があり、そのためには店舗での活動も地域の皆さまにきっちりと評価していただかなくてはいけないと思っています」

もちろん、小豆島でも地元素麺の「ふしめん」を活用した「ふし明太コロッケ」を皮切りに、地産外商による地域活性化を目指すという。

「高齢者の暮らしの状況確認から家電などのサポート業務まで『昭和浪漫倶楽部』が地域の御用聞きとして流通の起点になり、地域の子どもも招き入れ高齢者用の総菜を活用した食育等、さらに地域社会に貢献できるのでは、と考えています」

他に類を見ない、地域高齢者の健康寿命の延伸と地域活性化の両立を目指した新たな形の地域インフラとして、同倶楽部の全国展開を目指していく。

地域の高齢者を支える拠点として配食ネットワークを全国に展開―シニアライフクリエイト
地域の高齢者が集う場として全国展開を目指す「昭和浪漫倶楽部」(画像=経済界)
会社概要
設立 1999年12月
資本金 2億8,000万円
売上高 127億6,926万円(2021年2月期)
本社 東京都港区
従業員 105人(2021年2月現在)
事業内容 高齢者専門宅配弁当サービス、高齢者施設向け食材卸、高齢者向けコミュニティサロンの運営
https://slc-123.co.jp