自律飛行技術で商用航空に革命をもたらすReliable Robotics
(画像=共同創設者兼CEOのRobert Rose氏/経済界)

記事作成=hackjpn

パイロット不要の飛行機を開発した米国企業

世界中を飛び回る貨物飛行機は、通常は航空機に装備されている航空計器以外にも、離着陸の際にパイロットの操作が必要となる。このパイロットには貨物輸送事業を運営する上で最もコストがかかる。

商品のジャストインタイム配送に対する顧客の需要は急速に高まっているが、航空貨物の容量を大幅に増やしたり、コストを抑えるのは非常に困難である。世界中の商品や人々を安全に輸送するには、自動運転の飛行機が必要不可欠となる。しかし、自動化された飛行機に不安を感じる人は大勢いるだろう。

現在、ある米国企業がそういった課題を解決し、「パイロット不要の飛行機」を開発することで航空の将来を大きく変革させようとしている。

より安全に、移動コストも削減する空の旅を提供

Reliable Robotics(リライアブル・ロボティクス)は、資格を持ったパイロットが地上から操作することで遠隔操縦が可能な自動操縦プラットフォームを開発しており、自律型飛行機を業界初で開発を成功させたスタートアップだ。パイロットが搭乗せずとも飛行機が地上滑走、離陸、着陸、駐機を自力で行う技術を開発している。

道路と比べてより構造化、規制化された飛行機を自律型システムに置き換えることで、従来かかっていたコストを抑えるだけでなく、航空機の利用率を高めることが可能となっている。

同社は、2019年から世界的な商用航空セスナ172を使った無人飛行テストを米国空域で行い、遠隔着陸を成功させるという歴史的な成果を達成したる。また、生鮮食品の販売業者GiumarraCompaniesと連携し、農場から店舗への200マイルもの概念実証飛行も成功させ、生鮮食品の迅速な配達のための改善にも貢献している。

自動操縦プラットフォームにはソフトウェアや通信システム、リモートコマンドインターフェイス、バックアップシステムが備わっており、最近では、14人の乗客を運ぶ航空機セスナ208キャラバンの完全自動化された遠隔着陸も実証した。その技術をあらゆる固定翼航空機に対応させる一般化への可能性を提示している。米連邦航空局(FAA)の認証を受け、NASAとの連携をとることで、コンプライアンスと安全性も確保している。

自律飛行技術で商用航空に革命をもたらすReliable Robotics
(自動動操縦プラットフォームを搭載した飛行機(出典:Reliable RoboticsのHP https://reliable.co/ )/画像=経済界)

コスト削減と航空機の利用率向上に貢献

自社で開発した自動操縦プラットフォームは、新たなインフラや技術が必要なく、農村部などの小規模な滑走路でも自動着陸を行うことが可能だ。そのため、全国の地方空港や自治体空港同士を連携させるのも狙いの1つだ。空港ネットワークが広がることで、貨物を運ぶ際の効率化とコスト削減に寄与すると見ている。

Reliable Roboticsの共同創業者でCEOのRobert Rose(ロバート・ローズ)氏は「FAAとNASAとの官民パートナーシップにより、自動操縦システムの航空機への統合を進めている。公的機関との緊密な連携と、貨物業界からの高い関心、そして先見性のある投資家からの支援が、すべての人に航空輸送へのアクセスを提供させるという私たち使命を加速させている」と語る。さらに、遠隔操縦された飛行機に乗客を搭乗する未来の可能性も示唆している。

世界の商用航空業界は5500億ドルの市場であるが、同社の技術によって商用航空のシェアがさらに拡大し、1兆ドル規模の市場にする可能性も秘めている。

自律飛行技術で商用航空に革命をもたらすReliable Robotics
(パイロットが遠隔操縦をする様子(出典:Reliable Roboticsのyoutubeよりhttps://www.youtube.com/watch?v=O5PGApbGjN8 )/画像=経済界)

全米に認められたチームが示す航空機の未来

ロバート氏は、SpaceXの飛行ソフトウェアとTeslaのオートパイロットプログラムを主導していた経験を持つベテランのソフトエンジニアである。共同創設者でエンジニアリング担当副社長のJuerg Frefel(ジェルグ・フレフェル)氏も、商業用打ち上げロボットであるファルコン9や、宇宙船ドラゴン、また自動運転機能を備えた消費者向け自動車のコンピューティングプラットフォームを開発するチームを率いていた。

その他にもボーイング787、エアバスA380といった、米国の主要な民間航空会社や航空電子工学システムの開発において重要な役割を果たしてきたメンバーがチームに加わっている。

航空機を熟知したメンバーが出会い、2017年Reliable Roboticsを創立した後は、自律飛行技術を使って商用航空にかつてない安全性と信頼性をもたらそうとしている。全米飛行家協会(NAA)による「アメリカの航空宇宙工学における最大の成果」を称えるコリヤトロフィーのファイナリストにも選ばれた。航空宇宙領域における成果のベンチマークを獲得し、航空輸送に安全性をもたらす未来を多くの投資家に提示したことで、2021年10月にはシリーズCラウンドにて1億ドル(約114億円)の調達にも成功した。

Reliable Roboticsの自律型飛行システムは、技術的にも商業的にも重要であり、航空の将来に幅広い影響を与えるであろう。現在は商用利用のためのシステム認証に向けて取り組んでいるほか、電気を利用したハイブリッド航空機プラットフォーム技術の確立も目指している。

手頃な価格で、商品だけでなく最終的には人々が遠隔操縦された飛行機で地球を旅する。そんな未来を示唆する同社への期待は高まっている。(経済界電子版より転載