自社株買いのメリット5つ

自社株買いには多くのメリットがある。いずれも経営に関するメリットなので、経営者であれば知っておきたい。

メリット1.敵対的買収を防衛できる

上場企業などでは、敵対的買収を仕掛けられた際、買収を防衛するために自己株式の取得を行うことがある。

自己株式を取得することで、自社と味方株主の持株比率が高まる。自己株式を味方に売却すれば、敵対的買収者の持株比率も低下する。

また、株式数を減少させて株価を吊り上げることも、敵対的買収の妨害につながる。

メリット2.株価を調整できる

自己株式の取得で株価を調整できる。上場企業において、本質的な企業価値に比して株価が過小評価されている場合、市場に出回る株式の数が過剰になりがちだ。

自己株式を取得すれば市場の株式を削減でき、株価を上昇させられる。

メリット3.納税資金を調達できる

事業承継を目的に自己株式を取得するケースも多い。非上場会社といえども、株式を相続すると相続税が課されるからだ。

非上場会社の株式はすぐに現金化できないため、相続税の納税資金が不足することがある。その対策として、会社が後継者から自己株式を買い取り、後継者の納税資金を調達する。

会社の資金が潤沢な場合や資金調達能力があるケースに検討できる方法だろう。

メリット4.株式を集約できる

事業承継に際して、少数株主に株式が散らばっていると、会社のガバナンス上に問題が生じやすい。株主管理に手間や費用がかかったり、意思決定が遅れたりするなど、中小企業ではトラブルになりやすい。

後継者や筆頭株主が、少数株主から株式を買い取っておくのが望ましいが、個人では資金が不足することも多い。

そこで、会社が少数株主から株式を買い取って集約するのだ。買取価格の面でも、支配株主による直接買収よりも低価格で購入できる可能性がある。

メリット5.M&Aの対価として利用できる

M&Aの対価としても自己株式を利用できる。M&Aの対象となる企業の株主に対して、既存の株式ではなく自社株式を交付するのだ。

現金を用意できない場合でもM&Aが可能となり、買い手や売り手、社会にとって好循環が生じる。

自社株買いのデメリット3つ

自社株買いにはデメリットもあり、注意しなければならない。

デメリット1.資金繰りが悪化する

自己株式を取得する際、会社側は対価として現金を支払う。取得する割合や株価などによっては多額の資金が必要になる。

例えば、買収防衛策として自己株式の取得を行っても、会社の資金繰りが逼迫しては本末転倒だ。

デメリット2.処分に手間がかかる

取得した自己株式はそのまま放置できるが、いずれは処分・消却を行う。いずれにしても、取締役会や株主総会の決議、公告など、面倒な手続きが必要になる。

デメリット3.自己資本比率の低下

自己株式は、純資産の部の勘定科目であり、マイナス勘定の性格を有している

自己株式を取得すると資産である現預金が減少し、マイナスの純資産である自己株式が増加するため、結果として自己資本比率が減少する。

多額の自己株式を取得すれば自己資本比率が大きく悪化し、会社として金融機関からの信用を損なってしまう。

文・内山瑛(公認会計士)

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